「チャンスを活かせず失敗する企業に、絶対的に欠けてる視点とは?」
「先生、売上の高い店はいいんですが、儲かってない店が問題でして…」とあるチェーンの社長からのご相談です。
話をお聞きすると、売れる数店舗で全体利益を稼ぎ出していて、それ以外の赤字ギリギリ店舗をなんとか改善させたいとのこと。
かつて、全社をひとまとめにした管理会計で売上さえ伸びていれば良かった時代、不振事業はそれほど問題とされてませんでした。
ところが今、人件費をはじめとする全ての経費が上がっていることから、これからは、店舗間の利益格差はもちろん、各事業の中身も見直していかなくてはなりません。
会社概要を拝見すると、新たに始めたディスカウント事業や、小型店生鮮食品を中型店舗で加工する母子店方式や、はたまた、移動スーパーと様々な展開をしています。これらに共通した点は売上底上げであり、そのすべてが赤字であるということです。
やればやるほど赤字補てんが必要なことから、早急にそのあり方を見直し、本業の収益をより強固なものにしていく必要があるということです。
喫緊の課題は、赤字事業の売上があまりに大きくなり、止めるにやめられない状況になってしまったということです。
――――赤字事業の規模を縮小していくか、それが無理なら本業で生産性を2割~3割あげる策を講じてください。とハッキリ申し上げました。
「え?今すぐですか」
――――はい、すぐです。
ダメになる企業と言うのは、売上不振というよりも、このように儲からないことをほったらかし、儲かるはずのお金を成長事業に、投資できなくなるからダメになるのです。
仮に、従業員給与ひとり240万として、100人いたとしたら年間の人件費は2億4千万、このうち無駄な業務を見つけ、人件費の2割を下げることが出来たら、年間48百万円のコストが下がることになります。遅い会社というのは、この年間48百万を儲け損ない、そのお金を成長事業に再投資出来ないから潰れるのです。
つまり、赤字事業をカバーする為には、まず、本業でばっちり生産性をあげる仕組みを作りましょう。ということです。
というのは、これからの時代、売上依存に頼った収益構造は長続きしないのです。
その背景として、ここ数年販管費は、毎年0.4%づつ経費率が上がる傾向にあるからです。このままいけば、数年後に経費率は2%以上上昇することになり、その時点で赤字事業を抱えていれば、致命的になりかねないとうことです。
一方で、すでに収益構造改革に取り組んでいるチェーン企業では、店舗営業利益率を3倍~4倍にする店舗が出始めています。
売上をとるだけのドル箱店や、儲からない事業は徹底的に見直され、そこで生みだれた資金を成長戦略に再投資する仕組みが出来上がっています。
これまでの社内の成功体験や固定概念を外し、客観的な視点で非効率な業務を見直していくことをプロジェクトが提案し、その場で経営が意志決定してきます。
この改革では、1店あたり数百万から数千万単位で年間利益が変わってくることから、このチェーンの場合、ここ数年で数億単位の利益改善を実現させています。
売上に偏った収益構造から、人時生産性基準を決め、リスクを低減させたことで、経営に余裕が生まれ、成長投資戦略について考えることが出来るようになったのです。
何が起こるかは予測するのは難しい時代だからこそ、成長戦略を描いてく中で、どれだけ有効な手立てを用意しチャンスを得ることが出来るか?ということです。
さあ、貴社では、売れる店依存で減益を見過ごしますか?それとも、店舗間利益格差を無くし最少リスクで、儲かる収益構造変革で成功を手に入れますか?
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