自社の事業を激変させる「あるもの」
「いやー、うちの会社にそんな他社にない強みなんてあるんですかねえー」― 先日オンラインの個別相談を実施していた際に、相手方の社長から出た言葉です。
いまやっていらっしゃる事業を詳しくお聞きするにつれ、磨けば光るその会社の強みやユニークさが次々に出てきたのですが、ご本人は自分たちがやっていることが「当たり前」と思っているため、何をどう磨けばいいのかピンとこないご様子。
これは本当に「あるある」で、実際はそうでもないのに、「自分たちがやっていることなんてどこの会社でもやっている」とか、「うちに会社に強みなんてない」、というように思い込んでしまっているケースはとても多いです。
経営者がそう思っているのですから、当然のことながらその会社の社員も同じように思うということになりがちで、そうなると、いわば誰も「自社の存在意義」を感じられないままに仕事をするということになります。これは非常にもったいないことです。
そういう会社は一体何を磨いていけばいいのか…これはもちろんその会社の状況によって異なりますが、ひとつだけ共通する、絶対に磨いていくべきものすごく重要なものがあります。
それが『言葉』です。
「言葉? あー言葉づかいですね。営業とか接客ではそうですけど…」と思われたかもしれませんが、そういう話ではありません。言葉づかいとか、ポジティブな言葉が雰囲気をよくするとか、そういったよくある話ではなく、もっと根本的な話となります。
少々小難しい話となりますが、この「言葉」というのは単なるコミュニケーションのツールではなく、我々が住むこの世界をつくっているものであり、いわば「言葉=世界」と言えるものです。
身の回りにあるすべてのものが、木材でもなく、プラスチックでもなく、「言葉」でできています。なぜなら、「言葉」がこの世に存在しなければ、どんな物質も我々は認識することができないからです。
「ホワイトボード」という言葉がなければ、それをホワイトボードと認識することはできません。代わりに「白い板」と言えばいいじゃないかと言われるかもしれませんが、それも「言葉」です。言葉がなければ我々の世界というのは立ち上がってこないのです。
何がいいたいかというと、「皆さんの事業も『言葉』でできている」ということです。
当然ながら、皆さんは普段「言葉」を使ってご自身の仕事を説明されています。「うちは機械商社です」とか「私は散髪屋をやっています」というように。
経営トップが自社の事業を「機械商社」と言ってしまったら、自社の事業は「機械商社」となってしまいます。自社を「散髪屋」と呼んでしまったら、自社の事業は「散髪屋」となってしまうのです。
「あなた一体に何言っているの?」と思われそうですが(笑)、どんな言葉を使って事業を考えるかで、自社の事業コンセプトや事業目的、商品サービスの内容から社員の意識まで、すべてが変わってしまうということです。
自社の事業を「機械商社」と捉えてしまったら、社員の意識は「機械」や「商社」に行きます。そこから広がりません。これを例えば「現場の生産性改善業」とか「人不足時代の自動化・省力化支援業」など、違う「言葉」で定義するだけで、自分たちが「何のために」この仕事をしているのかという意識が大きく変わるはずです。
「散髪屋」にしても同様です。たとえば「癒しのオアシス」とか「ビジネスマンが本来の自分に戻れる場所」といった定義で捉えなおすと、サービス内容から社員の立ち振る舞いまで、これまでとは大きく違ったものになるはずです。
「言葉」には抽象度という尺度があります。抽象的、具体的、というやつです。経営者がいつも目の前の「具体」の話ばかりすれば、社員も目の前のことばかり考えるようになります。経営者が一段抽象度上げた言葉を使って思考すれば、社員の視点もおのずから上がります。言葉が変われば視点が変わり、視点が変われば世界が変わるということです。
いま、コロナ禍によって難しい状況を迎えていらっしゃる企業の方も多いと思います。何か手を打たないと!と焦る気持ちを抱いておられるかもしれません。
そんなときこそ、「そもそも自分たちは何がしたいのか?」というそもそも論に立ちかえってみられてはいかがでしょうか。いままでと違う世界が見えてくるかもしれません。
その会社の経営者や社員の方々が、自分たちのやっていることを心から「面白い!」「意味がある!」と感じながら仕事をする― そんな会社ばかりになれば世界は変わる。そんな思いで当社は「事業の特別ビジネス化」をご支援しています。
経営者の方々には、ぜひあらためて自社の存在意義を見つめなおしていただき、そこに意気を感じ、心を奮わせて経営にあたっていただきたいと、当社は切に願っております。
中小企業が世界を変えます。ともに頑張っていきましょう。
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