価値を高めるのは
モノでも、サービスでも、商売を通じて顧客との接点を育むという部分は変わることがありません。提供する商材が評価され、満足に基づく対価を得て初めて商売は成り立ち、前へと進んでゆけるのです。その価値を認めるのは誰か。普通に考えると顧客、という答えが返ってきそうですが、本当にそうか?と考えてみるとそこに商売の本質が見えてきます。
「顧客のための価値」を提供するビジネスは、常に価格競争に晒されます。顧客が自分のために使用する何か、たとえば燃料や機材・消耗品、許認可手続きの代行サービスなどを調達する場合には、商材そのものに差別性が働きにくいこともあって、「安ければよい」という志向が強く働きます。わかりやすい例が家庭でティッシュペーパーなどの特売品を買う場合で、スーパーでもドラッグストアでも、どの店で買うかはさほど問題ではなく、近場であれば安いところで買うという消費行動が一般的です。
では、商売において価値はどのようにして訴求しうるのか?たとえばどら焼きを例に考えてみましょう。自家消費用であれば価格相応の、たとえばスーパーで20%引きシールが貼られた賞味期限の短い商品やコンビニでばら売りされている商品を買う人でも、贈答用となれば立派な箱に入った詰め合わせを買うと言う人は少なくありません。
よく言われる話ですが、価値を訴求するために使うべきはこのメカニズム、つまり顧客に「お客様のための何か」を考えさせるアプローチをとることなのです。高いものを売る、高いなりの理由を説明して売るときには「顧客の顧客」のことを考えなさい、ということです。
このプロセスで商流が2段階先へ進む間には、確実に付加価値が付けられてゆきます。原材料は部品から組み立て部品に、糸は布からシャツに、プラスチックもバスタブからユニットバスへと形を変えてゆきます。バスタブ屋が求めるのはスペックに合った安いプラスチック材料かもしれませんが、ユニットバス屋が求めるのは肌触りだったり色合いだったりするわけです。
昨今、この流れはどんどん圧縮される方向にあります。なぜなら同じ理由でユニットバス屋がゼネコンに加えてマンションデベロッパーを意識しだしているので、バスタブ屋あるいはプラスチックメーカーとしても、顧客の顧客を意識することが商流全体を意識することに限りなく近づいているからなのです。
この変化により、ゼネコンが意識するCO2排出や、デベロッパーが意識するSDGsをはじめとした社会とのかかわりあいなども、付加価値化できる可能性がどんどん大きくなっています。同じようにして、どら焼きの包装もプラスチックではなく紙が評価される市場が、確実に出てきていると言えるでしょう。
商流全体を考えたとき、このような流れにこそ隠れた機会があることに思いを馳せてみましょう。そこにビジネスチャンスを見出そうとする企業を、当社は全力で応援しています。
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