象を食べるなら
昨年から今年にかけて、コロナ禍による商環境の急激な変化は世界経済を大きく変質させました。他方でカーボンニュートラル2050に代表される脱炭素化の動きもまた、経済の仕組みを大きく変えるものになると見られています。
いずれも古いものと新しいものがせめぎあう中で、とあるバランスに向けて収れんして行くような変化になるのだろうと思われます。コロナ禍が落ち着いても、昔のような仕組みには戻らないだろう、と言う指摘は随所で聞かれます。
環境が変わる中では、ビジネスもまた変化しないと生き残れません。とある会社は新製品開発に活路を見出しましたし、市場を横展開することで打開策を探る会社もあれば、果敢に多角化を推し進めようとする会社もあります。
そのいずれもについて私がいつもお伝えしているのは、たとえ環境の変化が急激であっても、企業が変化できるスピードには限りがあるため、変化すると決めたら速やかに動き出しなさい、ということです。
ここでさらに大切なのは、素早い動き出しが過剰なプレッシャーにつながらないようにする配慮、すなわちマイペースの見極めなのです。人より早く動き出せたのだから、より速く動いてより大きな成功を手にしたいと考えるのは人情かもしれません。でも会社の経営資源はそれを許さないことを、経営者としてしっかり認識することは、ことの成否を左右する重要なポイントなのです。
かつて私が駐在していたアフリカ・ケニアでは、急ぎすぎることを諫めるとき「象を食べるなら、一口ずつ」と言います。獲物がどんなに大きくても、口の大きさより大きな肉を一度にほおばるわけには行かない、つまり過剰な負荷をかけても得られるものはない、ということを戒めることわざです。
変化に対応するには、それなりの時間がかかります。そうと決めたら素早く動き、変化が定着するまではじっくりと時間をかける。「象を食べるなら、一口ずつ」を忍耐強く実践しようとする会社を、当社は全力で応援しています。
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