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経営者マインドを曇らせるな

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

昨年に続き2度目の緊急事態宣言がようやく解除された。これにより少しは経済活動が動くであろうことが期待される。個人的にはコロナウィルスへの過度な警戒感には疑問を持っている。医学的、科学的根拠が明確でない数字に日々踊らされている感が強くしている。特に年配者の方々が日々のマスコミ等の報道によりさらに警戒感が強くなっている。

また、東京と地方の温度差も顕著に思われる。東京の感染者数字が大きく思われ、東京がまるで感染源かのようなイメージで捉えられている。東京へ行くことが憚られ、東京からの人の出入りを極端に気にしている。地方の企業では社員の東京出張を全面的に止めているところが多い。また、東京からの企業訪問はお断りという企業も多い。

先日久しぶりに連絡があった九州のある経営者は昨年の2月から東京への出張は一度もしていないと云う。また昨日電話で話した大阪の経営者も同じように一度も東京へ行けずにいると言っていた。両社とも東京に支店、営業所があるにもかかわらずだ。会議や報告などすべてオンラインでやれており問題はないのだという。

二人と話した後、少し気になったことがある。それは二人の経営者としてのマインドがどのような状態にあるのだろうということだ。1年半にもなろうとするコロナ禍にあって経営者マインドにどのような変化があるのだろうかということだ。コロナ禍以前に比べどうしても閉塞感のようなもの、さらには先行きがに通せず不安感があるように思われる。

かつて事業経営者だった頃の私は、常に動き回っていた。誰か新しい人との出会いがないか、なにか新しいビジネスとの出会いがないかと動いていたものだ。そのような経営者であった私にすれば、今のように人為的に物理的に制約と制御がかかった状況で経営をすること自体が窮屈でならない。自分の力ではどうしようもないことがこれほど多く重なるというのも未経験なことだ。

それもそのような状況が1年半近く続いている。経営者が閉塞感と無力感にさいなまれていると危惧している。コロナ禍にもかかわらず業績が好調な企業が多くある。それ以上にコロナ禍がまともな逆風となり業績が悪化している企業が多くある。それらの企業の経営者マインドが閉塞感と無力感で押しつぶされそうだとしたらどうだろう。

今現在は金融機関からの様々な緊急融資や特別融資により手元資金に余裕がある企業も多い。それらの融資が3年、5年据え置きだというケースが多い。コロナ禍でかつてないほどの不況にもかかわらず、企業の倒産件数がまだそう多くないのはそういった金融機関からの融資と国からの補助金、助成金が活用されているからのことだ。

それら据え置き期間がある融資もいずれは返済開始期限が刻々とやってくる。経営者はその間に変化に対応し業績を立て直しておかねばならない。そのための融資返済据え置き期間なのだが、問題は経営者のマインドがコロナ禍の長期化でマイナス思考に陥っていることだ。通常ならもっと素早く経営者が行動しているはずなのに経営者の足が止まってしまっている。

先の経営者のひとりは直近に7000万円の特別融資を受けたという。内4000万円は5年据え置きだ。当面の運転資金が確保できてよかったと私が言うと、「5年たったら返さなあかん。そのときのことを考えるとお先真っ暗や」との返事だ。通常5年もあればいろいろと事業の見直しができ、なにか新しいことも始まっているに違いない。

経営者のマインドが落ち込むことほど危険なことはない。折角融資が得られたとしてもそれを活かす経営者の心が折れてしまっていては話にならない。この度の緊急事態宣言解除が経営者マインドを少しでも明るくさせる一助となって欲しいと切に願うところだ。

 

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