ポストコロナ時代、なぜ今までの部下指導では人は育たないのか
昨年の6月から大企業におけるパワーハラスメント対策が義務化されたこともあり、中小企業の経営者の間では、ストレスチェックの結果の中でも、特に「上司との関係」が良好であるか否かに多くの関心が寄せられています。
ストレスチェックの調査質問から、部署ごと、課ごとの「上司からサポートを得られているか」など上司との関係性があぶり出されるからです。実はパワーハラスメントの問題も、日ごろからの上司と部下の関係性が大きく影響しています。そもそも信頼関係がほぼ無い場合は、あるいはすでに関係が破綻しているような場合は、部下は上司からの指導を「人格否定された」「パワハラだ」などと感じてしまいがちだからです。
「上司との関係が悪い」部署によくありがちなのが、管理職が上手くマネジメントが出来ていないという現実です。未だに、一方的な指示命令を行ったり、部下の話を聞かずに自分だけが正しいと勘違いしていたり、「自分のやり方にとにかく従え」と言わんばかりのコミュニケーションが横行している場合もあるのですから驚きです。
上司は「上」で部下は「下」という立場。上に立つものが経験、知識、スキル、能力が高く、下の立場に教えてやるという指導法はすでに過去のものです。時代遅れです。これをもってマネジメントが出来ているとは言えません。
現在は、部下指導のスタイルが大きく変わっており、それを知らずに古くからの指導スタイルにしがみついていたり、そのような管理職を評価している会社は、これからの時代、「人が辞める」、「育たない」、そして「チームワークもバラバラ」という会社としての機能不全に陥るでしょう。
では、部下指導の在り方はどう変わっているのでしょうか。
一方的から双方向へ
まず、大きな違いは、部下指導が上司から部下への一方的から双方向になったということです。特に、デジタルネイティブとも言われる、いわゆる物心がついた頃からパソコンやスマホが身近にある環境で育ってきた世代に比べ、そうでない世代の上司は、ITに関する知識やスキルで部下よりも上だとは言えないわけです。今年、コロナで一機に導入が進んだオンライン会議やテレワークも同じです
つまり上司より部下の方が圧倒的な知識やスキルを持っていることもあるということです。
そんな相手を育成していくには、一方的な指導というスタイルではなく、ビジネスにおける目標を共有する仲間として対話を中心としたコミュニケーションが求められるのです。
相手の力を引き出す指導
つまり、今の上司に求められているのは、部下を指導するという育成スタイルではなく、部下の力を引き出す支援スタイルなのです。
支援スタイルを実践するには、上司自身の心の容量が求められます。自分本位、一方的、独りよがりでは、それこそ部下に受けられないからです。まずは部下との信頼関係を作ることが重要です。
信頼関係を作るためには、部下の話に真摯に耳を傾け、的確なフィードバックや質問を重ねる中で、部下をよく知り、相手の強みややる気を引き出す「対話」が必須なのです。
「心」をマネジメントする力
さらに、生産性の高いチームを作り、リーダーシップを発揮して成果を出すために、上司に求められるのは「言葉で相手を動かす」のではなく、「心を動かす」力です。
部下のメンルヘルスにも関心を持ち、日ごろより配慮をしながら、彼らの「心に届く」「心に響く」言動が出来るかどうか。この上司のために、このチームのために「頑張ろう」と思えるチームワークを作るのが上司の役目なのです。
このように部下指導のスタイルが大きく変わっているにも関わらず、旧態依然の指導スタイルを行っていたり、上司としてマネジメントする力のないものが管理職を担っている場合、あなたの会社は令和時代、そしてポストコロナというますます時代の変化が激しさを増していく時代に、常に人材育成に悩み続けることでしょう。
あなたが社長であるならば、今こそ、自社に新しい部下指導スタイルを取り入れるべき時なのです。古い時代をなつかしく振り返るのではなく、新しい時代に先駆けて行動すべきと決断する時なのです。
指導から支援へ。新時代の部下育成が出来ない会社は淘汰されるのです。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。