成功する人としない人は何が違う?
「村木さんから見て成功している社長って誰がいます?」
時々、こんな風にお尋ねいただくことがあります。この答えが結構難しい。人によって「成功」の定義がさまざまだからです。
もちろん社長であれば大きく儲けて、有名になって……といった野望はおありになると思うのですが、それだけが「成功」の定義だとするとちょっと寂しい気がします。
以前会った若い社長は、「金儲けはいくらでもできる」と豪語していました。ところが、話をしていても何か物足りないのです。信念というか、そのビジネスを通して自分をどうしたいのかといった心の内が見えてこない。それは言葉がつたないのが理由ではなく、語るべき中身がないからだと感じました。
「夏草や兵どもが夢の跡」ではありませんが、ビジネスにも必ず栄枯盛衰があります。一時もてはやされたビジネスでも、時がたてば陳腐化したり、環境変化の影響を受けて、色褪せたりします。それが必然であれば、変化に対する準備は不可欠です。ところが、その変化に一貫性がないと、また「ゼロからやり直し」の落とし穴にはまりこむことになります。
これは、もったいないお話しです。
たとえばコロナ禍の影響を受けて閉店を余儀なくされた飲食店が、持っていた土地を活用してコインランドリーを始めたとします。数年前よりも勢いは落ちましたが、コインランドリーは現在も人気のある業種です。でもなぜ飲食店がコインラインドリーを始めたか?
もともと地域の食材を使ってリーズナブルな価格で食事を提供し、農家と地域の人たちのウインウインの関係をつくろうと飲食店をやっていた人です。一番に目指していたのは、地域の人たちの交流の場をつくることでした。
その飲食店の継続が難しくなったので、コロナ禍においても需要が衰えないコインランドリーに業態転換をしたわけです。でも、地域の交流の場を創るという想いは変わりません。だからそのコインランドリーには軽食が食べられる交流スペースも用意して、洗濯をしている間の時間で井戸端会議ができるようにしました。飲食店時代の交流の場づくりを、コインランドリーでも継承したわけです。
こんな風に一貫した思いがあれば、かつてのお客様を再び惹きつけるきっかけ作りができます。カタチが変わっても、事業に息づく経営者の想いは変わっていないので、過去の資産を引き継ぐことができます。
「成功」の話しに戻ると、経営者ご自身が達成したい想いに近づいたかどうかが、成功か否かを決める試金石になると考えられます。事業はそのための手段です。さらに言えば、利益は達成したい想いに近づくために必要な資源です。だから、利益はきちんと出さないといけないし、利益が出る事業プランを考えることはとても重要です。
とはいってもやっぱり、華々しい活躍をして人に注目されたいとか、尊敬されたいとか、誰しも思うものです。でもそれは事業の成功というよりも、きわめて個人的な願望を満たすものと言った方が正しそうです。私自身も自分の中にこういう願望があることをよく理解しています。
こうした個人的な願望の達成を「成功」と呼んでも一向にかまわないのですが、むしろ自分が設定した目標に近づくためのモチベーション要因ととらえたほうが、事業を続けていくうえで役に立ちそうです。「みんなに褒められたから、自分の目標に向かって、もっと頑張ろうっと」という感じです。
成功する人としない人の違いは、「もっと頑張ろうっと」と思える目標、ゴール、向かう先があるかどうかが一つ。もう一つの大きな違いは、そこに向かって具体的に行動をしているかどうかです。
頭のなかでぐるぐる考えているのは「行動」とはいえません。自分から誰かに働きかけて、良くも悪くも反応をもらい、自分の考えで現実を変えていくよう「行動」しているかどうか。ここが大切です。
「この人生は成功だった」と思える一生を送るために、社長のゴールと行動を応援します。ぜひ一緒に考えましょう。
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