後継者の悩みの本質
以前のコラムでも触れましたが、最近2代目や3代目など、中小企業の後継者さんとミーティングする機会が増えています。皆さん自分なりに相当頑張っていらっしゃいます。創業者が残した功績を超えるため、日々様々な努力をされているのはお話からも感じ取れます。
ですが、なかなか思い通りにいかない会社経営に悩んでおられる後継者さんも多数見受けられます。古参社員との人間関係や、取引先や金融機関から認めてもらえない、あるいはそもそも肉親である創業者と折り合いが悪いなど、まあ、よくあると言えばよくある悩みを実際にお聞きします。
そんなこんなで自信をなくしつつある後継者さん達の話を深掘りしながら聞いていると、ある違和感が残ります。それは「努力の方向性のズレ」です。
身も蓋もない言い方をすれば、仕事において周りの人間から認められない、あるいは良い関係性をつくれないのは、相手が求めることをしていないからです。つまりは、「売上が取れてない」のです。どんな綺麗ごとを言っても、仕事であれば成果を残す必要があります。そして社長の成果は会社の売上(粗利とか○○利益も大事ですが、便宜上売上にしています)として数値化されます。売上が取れなければ、社員に給料も払えませんし、保険も税金も払えません。
前述のようにお悩みの後継者さんは、そもそもその「売上」が取れていないのです。努力の方向性がズレているため、どんなに今やっていることを頑張っても売上は伸びず、周囲からの評価はますます下がります。結果、周囲の人間は表面上「社長」と呼びますが、内心まったく認めていないため、社内にしらけた空気が漂います。
ちなみに努力の方向性のズレの具体例としては、「セミナーや研修会など積極的に参加し、何かをやった気になっている」「同業他社の社長と、勉強会という飲み会を頻繁に行う」「営業活動の一環として、毎週ゴルフに行く」「営業に出ず、会社の数字とにらめっこし、何かが分かった気になっている」…などが挙げられます。
上記の例は、それ自体が決して悪いことではありません。理解して使えばかなり効果を上げるものばかりです。なぜこれらが努力の方向性のズレとなるのか。それは成果を上げられない社長は「真剣」ではないからです。結局、何か効果がありそうなことをやって自己満足したいのです。周囲への言い訳づくりをしているとも言えます。
厳しい言い方をすれば、創業者が作った道を、何も考えずただのんべんだらりと歩いているようなものです。何もしなくても過去の遺産で「食える」状態が続くと、多くの企業でこんな状態になってしまいます。
状況改善の特効薬はありません。心当たりのある社長は、まず自分自身で売上をつくることに全力を注ぐべきです。特に中小企業では「トップセールス」の力が事業の成否を分かちます。1件でも多く自分自身でお得意様を開拓するよう、外に出て、そして現場を見て、生のデータを自分の頭に刻みつけましょう。そこから新たな道が開けます。
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