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社長、先行投資意識をどれくらい持っていますか?―未知の分野に賭ける姿勢が問われる―

SPECIAL

地方メディアの高度有効活用コンサルタント

株式会社メディアコネクション

代表取締役 

広告分野における地方メディアの高度有効活用を専門とするコンサルタント。東京在住中のマーケティングビジネス経営の経験と地方企業への経営革新支援ノウハウの融合させた、独自の「儲かるための広告戦略」を開発。自らも成功実践事例として、地方メディアを舞台に展開。

私がこの業界(コンサルタントの世界)で師匠と仰ぐGさんは、ご自分がコンサルタントとして事業を立ち上げた当初、広告宣伝費を使いすぎる、と担当の税理士さんに文句を言われた、というお話をよくされます。Gさんは、その無理解ぶりに腹を立て「うるさい!事業は、初めに前のめりに取り組まないでどうするんだ!」と、はねつけて、喧嘩しながらも広告を打ち続けた、と笑いながら話しておられました。

税理士さんに言われた、というGさんの言葉が、私も同じ税理士という資格を持っていて気にかかるところでした。

というのは、税理士にしてもコンサルタントにしても、広告宣伝費、もっと全般的に言えば販売促進費にどれくらいの予算をかけるかというのは、なかなか難しい課題だからです。

一般的に税理士という資格業の場合、あまり販売促進費という経費は計上しません。

かけないというよりは、そういう意識そのものがそれほどないのです。

開業しても紹介とか口コミとかでちょっとずつ事業を広げる人がほとんどで、広告などの販売促進費を投入してまで拡大しようという人はあまりいません。少なくとも、これまではそんな業界でした。私は、初めからそんな業界意識は希薄なタイプだったので、広告などもそれなりに打ってきましたが、そういう人間は少数派だったと思います。

これは資格業という「業界」が抱えている意識の問題とも言えます。

ところで、販売促進費に金をかけない、或いはかけたがらないという点では、「業界」と並んで、もう一つ同様のくくりがあります。

それは「地域」という一つのくくりというか単位が抱える課題です。

特に日本の地方の場合、販売促進という考え方がありません。

「わざわざ金をかけて広告宣伝などする必要がどこにあるんだ。うちのことは周りの人はみんな知っている。」という、私がいつも申し上げている地縁血縁ビジネスモデルが当たり前の世界になっているからです。

このことはこれまで何回もこのコラム等で申し上げてきたことですので、もう詳しくは書きませんが、「地域」言い換えれば日本の「地方」におけるこういった意識が抱える問題は大きいといえましょう。

さてそれではどうしてこのように「業界」や「地域」といった単位においては、販売促進費に対する意識が薄いのでしょうか。

おそらくそれは、販売促進費が「先行投資」という意味合いを濃く有しているからではないでしょうか。

つまり、「先のわからないことに対する経費」にほかならないからです。

業界意識や地域意識の強い人には、この「先行投資」という概念が極めて薄いのです。それはそれぞれのテリトリーの内部で、ビジネスに対する意識が完結しているからにほかなりません。

それはとりもなおさず、未知のものに対する想像力に欠けている、ということを表しています。

というような事情を「業界」や「地域」が抱えている中で、先日、会計事務所の方の女性の部下に「所長、どうしてこんなに広告宣伝費をかけなきゃいけないんですか?」と聞かれました。

彼女はいうまでもなく会計や税務の業界の人間です。「どうしてこんなに・・・」と彼女は言いますが、私に言わせれば、まだ大した金額をかけているわけではありません。これがほかの業界であれば、広告宣伝費にはもっと予算を投じたとしても不思議ではないと思います。

しかし、彼女にそういわれたときに、ハッと極めてリアルに思い当ったのです。それは、先述した意識の問題です。

「そうか!彼女たちこの業界の人間(まあ、私も業界の人間なわけですが・・・)には、「先行投資」という概念が薄いんだ。」ということです。

会計畑の人間は、終わった経費を確実に計算することが仕事と心得ています。何の経費に使ったかを、それに相応しい名目の科目に振り分けて処理することが仕事なのです。一連の仕事の中に「先行投資」という概念はほとんど登場しません。

広告宣伝費も「先行投資」ではなくて、「経費」なのです。

強いて言えば「先行経費」ということになりますが、そうなると「経費」というものの本質とは相いれなくなりますので、なかなかピンとこないのです。

しかし、経営者には常に「先行投資」という考え方が必須であると私は思います。

そもそも「経営」というのは、いつも一歩或いは半歩先を考えながら行なうもので、過去の処理はその本業ではありません。

私のように、一方では税務会計という過去の処理を的確に行なうことをメインの仕事とにしていたとしても、経営者としては、常に前を向いて仕事を進めなければならないのです。

さて、冒頭、「業界」或いは「地域」という単位においては、「先行投資」という考え方が極めて弱い、と書きましたが、この点については解決しておかなければなりません。特に「地域」においてはこれが大きな課題であるといわざるを得ないからです。この場合の「地域」というのは、具体的には「地方」のことを指すのですが、その「地方」においては、広告宣伝を含む販売促進戦略が極めて脆弱なのです。

現代のビジネスで成功を収めるためには、常に先手を打つことが求められます。

新しい打ち手を模索し、それを他人より早く世に問い、トライ&エラーを繰り返しながら完成度の高いものに仕上げていく、というプロセスが重要になります。

より早く世に問うためには、「広告宣伝」や「情報発信(アウトプット)」が必要な手法になります。これらはいずれも「先行投資」という考え方を元に行なわれることになるのです。

「経費」は常に、これは無駄なのか無駄じゃないのか、という判定のもとに支出されます。

しかし、「投資」は無駄になるのかならないのかは、やってみなければわからないところがあります。

思惑通りにいくこともあれば無駄に終わることもあるのです。

だからといって、リスクを恐れ「投資」を全く行わなければ、事業の発展というものはあり得ません。

そういう意味では、まだまだ希薄と思える「先行投資意識」というものを、特に地方の経営者は身につけてもらいたいと思います。

そのための戦略的アプローチについては、私のコンサルティングの中に含まれていますので、是非、一緒に取り組むことができればと願っています。

 

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