創業者と2代目
ここ最近、会社の2代目となる後継者の方々とお話しする機会が続きました。業種は様々ですが、面談が連続したことで多くの気づきがありました。今回はその辺りに触れていきたいと思います。
2代目と言えば、一般的には「甘やかされてわがまま」「自分のことを過剰評価」「努力をしない」「テキトーな意思決定」「遊びで散財」のようなネガティブなイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
もちろん、そんなイメージ通りの方もいらっしゃると思いますが、私の経験上、意外とドラマや漫画に出てくるようなステレオタイプな2代目は少ないと感じます。それよりも「真面目」「控えめ」「努力家」「論理的」「倹約家」であることが多いように思います。
創業者は直感型で猪突猛進、思いついたら即実行のタイプがほとんどで、周囲は振り回されっぱなしですから、それを見て育った2代目後継者は「自分はそうならない」と創業者を反面教師として見ている場合も多いのでしょう。
で、創業者から見ると2代目は物足りない。なんだか小さくまとまっている。もっと強いリーダーシップで引っ張ってほしい。じゃないと社員も認めてくれないし、取引先も心配する。最近業績も芳しくないし…大半はこんな状況です。
要は創業者と2代目は正反対な経営になりがちで、しかもコミュニケーションも不十分なため、お互いを理解せずダメなところばかりに目が行き、さらに関係が悪化するような悪循環となっているのです。
第3者として見ると、お互いが言っていることに一理あります。どちらも間違いではない。ただし、「言っている本人がやれば」です。
創業者は会長や相談役、あるいはもうすでに引退し一線を退いており、自分が中心となって経営をする立場にない。2代目は、先述のように真面目で努力家、そして理想はあるが如何せん実行力に欠ける。
結果、創業者、2代目ともに言っていることをやらない(やれない)ので、言い争っても不毛なやり取りで終わります。経営者として、「有言実行」「言行一致」は非常に重要なファクターにもかかわらず、不毛なやり取りで時間をロスし、利害関係者との信頼関係は毀損されていきます。
創業者は行動できるが計画性がない。2代目は計画性はあるが行動しない。この問題を解決する第一歩は「お互いが自分を正しく知ること」です。といっても、実は誰でも自分のことは薄々わかっています。ただ、それを肉親から、あるいはすでに関係の深い人から直接言われても素直に聞けない。当事者同士で言い合っても溝が深まるだけです。
ここで、間に入る中立的な第3者が必要だと私は考えています。それが顧問士業でも誰でも構いません。会社の状況をよく知る人物を介することで、外から客観的に自分を見ることができるのです。そこで初めて、自分の拙さを素直に認め、やるべきことにフォーカスできます。
繰り返しますが、創業者も2代目も、自分がなにを改善すべきかわかっています。それを変えるきっかけがあれば一気に変わります。ことほど左様に、当事者の二人が素直に状況を受け入れ、変わるきっかけになる場をつくる第3者の存在は重要なのです。
あなたの会社でも、もし、創業者と2代目間の意思疎通がうまくいっていないようであれば、第3者を入れてみてはいかがでしょうか。そのままこじらせ、社内が最悪な状態になることを考えれば、試す価値は大いにありますよ。
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