従業員をキラキラ輝かせる「人の育て方」
「船坂さん、どうやって人を育てれば、スタッフはお客様の前でキラキラ輝いて、いいサービスをしてくれるようになるんですかねぇ?」
ある、ホテルや飲食店を経営している社長と話していた時に出た話題です。
成熟化した社会の中で、「不快を感じない、良いサービス」は当たり前の時代であり、スタッフの接客やサービスによって、癒やされたり、元気になれたり、
「また来たい!」
「また、あなたに会いたい」
という接客サービスが求められています。
それには「やらされ感」でただ業務をこなすスタッフではなく、仕事の喜びややりがいを感じながら「キラキラ輝くスタッフ」の人材育成が重要です。
最近読んだ本で、1日1話読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書(致知出版)があるのですが、その中に、顧客満足度日本一のホスピタリティを提供し続けている北陸和倉温泉の老舗旅館、加賀屋の小田真弓女将の人材育成に関する「十の心得」が書かれています。
1.笑顔で相手の良いところを褒めて、「ありがとう」を言う。
「ご苦労様」といった上からではなく、感謝を込めた「ありがとう」を沢山言う。
2.注意する時は言い方に気をつける。
「あんたこんなことしてはだめよ!」ではなく、
「こんな言い面があるけど、これだけは気をつけてね」
と相手を認めながら注意をする。
3.相手との気持ちを通じ合わせる
朝、社員に会ったら、こちらから先に「おはよう」と挨拶をする。
そして、「風邪ひいた?」などの様子を見てひと言加える。
4.外部の研修や講演会参加の機会を与える
井の中の蛙になりがちなので、外に出して気分転換させる。
5.不器用な人、要領の悪い人ほど可愛がる
できる人は放っておいても大丈夫、大切なのは不器用な子、要領の悪い子をどうサポートしてあげるかが大切。
6.自己啓発の機会を与える
加賀屋では、お茶や生け花などの作法や知識を学ぶ、社内アカデミーを設けている。
7.ひと言多い子、段取り優先な子を注意する。
クレームの多くが、言わなくていい余計なことを言ってしまったり、お客様のペースを無視してこちらのペースで段取りしてしまったことから生まれる。
8.知識を教える
料理のことや、地域の歴史、美術工芸品など、客室係はお客様から様々なことを聞かれるので、そういったことをきちんと教える。
9.相性が合わない場合には配置転換をする
何回言っても、どうしても喧嘩をする社員同士は配置換えをして、お互い気持ち良く働けるようにする
10.最後は女将の責任
「最終的な責任は私が背負うから、自分が正しいと判断するとおりにやっていいよ」と送り出す。
小田女将曰く、「私の役割は舞台をつくることで、そこで美しく舞うのは社員たち。
社員がイキイキと楽しみながら働けるように環境を整えること。」
この心得を体現しているからこそ日本一のホスピタリティを長年維持している由縁だと思います。
これからも分かるように、人材育成における上司の役割は、
「スタッフを自分の思うように動かせるように知識やスキルを注入する」
といった上司側の自己満足ではなく、
サービス業における人材育成の上司の役割は、
「その人が輝くには、どうしたら良いかを考え、その舞台、環境をつくること」
であることが分かります。
これは、私が提唱しているホスピタリティが提供できるチーム、「ホスピタリティチーム」をつくる上で全く共通している価値観であり、加賀屋だけでなく、私のこれまで見てきた「キラキラ輝くチーム」は、上司が「人を生かす人材育成」を実践しています。
あなたの会社の人材育成は「人を生かす人材育成」をしていますか?