なぜ新米の上司は部下指導ができないのか?
「どうして部下指導が上手にできる中堅職の社員が少ないのでしょうか?」
多くの経営者は中堅職の社員に部下指導をしっかりやって欲しいと期待をしていますが、期待しているほど部下指導が上手にできていないと感じているようです。しかし、これには大きな誤解があります。
日本と欧米ではステップアップの考え方が全く違います。日本では、一般職層で優秀だと評価を得た社員を、中堅職層にステップアップさせます。しかし欧米では、一般職層で優秀な社員であるかどうかはあまり問いません。大切なことはマネジメントの経験があるかどうかです。もし経験がないのであれば、経営学修士(MBA)を修得しているかどうかを尋ねるでしょう。
今まで成長塾を受講された1,301人の経営者に尋ねたことがあります。
「中堅職層にステップアップさせる社員に『あなたはMBAを持っていますか?』と聞いたことがありますか?」。
この質問に「イエス」と答えた経営者は一人もいませんでした。1,301人中ゼロ人です。
つまり、一般職層で優秀な社員が中堅職層にステップアップする時には、部下指導を行うためのマネジメント知識や技術がないままに部下を任されるのです。これは何を意味するでしょうか。
中堅職層の成長シートには、必ず「部下指導」という重要業務が加わります。この部下指導を評価するときに、中堅職層にステップアップしたばかりの社員の成長基準は1点からのスタートになります。このことを経営者は忘れています。
期待はするでしょうが、この部下指導という重要業務が成長基準1点から5点へと成長するためには、相当の期間が必要でしょう。プレーヤーの一般職層を卒業するために仮に10年かかるとすれば、この部下指導ができるようになるためには、10年以上かかると考えなければならないでしょう。
一般職層は、「自分で仕事をして自分で成果を出す」階層ですので、うまくいかない理由は自分ではっきりと分かります。しかし、部下指導には相手がいます。部下がどう考えているのか、上司にはそのことが分かりません。相手のあるこの仕事が上手にできるようになるためには、1年や2年では無理です。相当な年数がかかるでしょう。
部下を持った最初の数年は、上手に部下を指導することができなくても当たり前でしょう。大手企業と違って中小企業では、上司の言うことを聞かないという困った相談もあります。それならまだいい方かもしれません。上司に反発する部下がいるという相談もあります。
しかし、このような部下に上手く対応できないからといって、その上司が、部下指導が不得手である、適性がないと勘違いしないように経営者が前もって説明する必要があるでしょう。
まさか上司が「部下指導が不得手です」と言ったことを受けて、経営者が残念そうに「そうか。では君から部下を外そう」と応じてはいけません。上司になった社員には、前もってこの事実を伝えておかなければなりません。もちろん管理者研修やマネジメント研修は必要でしょう。しかし十人十色の部下に対して、研修で学んだことが全てその通りストレートに全部下に役に立つことはあまりありません。
部下指導は実践です。徐々に部下が成長することイコール部下指導が出来るようになることに気がつかなければなりません。このことを前もって説明していないために、せっかく中堅職層にステップアップさせた優秀な社員を、また一般職層に戻してしまった経営者もいます。
日本には日本のステップアップの仕方があります。いわゆる「卒業方式」で中堅職層に上げていることを知ってください。そしてじっくりと部下指導の仕事に就かせてもらいたいと思います。
部下指導ができることによって、社員は3倍、5倍の組織貢献、そして世の中に対する貢献ができます。とてもやりがいのあるこの仕事を避けることのないように、その目的や成長の仕方を事前に説明することが必要です。
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