日本一コストパフォーマンスの高い教育とは
「なかなか社員は研修に参加しません。どうしたらよいでしょうか?」
社員の教育に対する関心の低さは、経営者の悩みでしょう。ある会社から、研修会の参加人数がゼロだったと残念な相談を受けたこともあります。
それは、その研修が“会社のため”に行われていると社員は理解しているからです。会社は“社員のため”に教育をしています。格言に「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ!」があります。「魚の釣り方」は、社員の身につく一生の財産です。
日本の企業では、社員を採用したら会社が社員を教育しようと考えています。ここが欧米とは違うところです。ある経営者は「社員一人当たり年間30万円の教育投資をしている」と胸を張ってお話をされていました。教育投資をすることはとても重要であり、企業の存続発展には避けては通れないでしょう。ただ残念なことに日本の経営者は、ある一つの事を忘れています。
それは教育による社員の成長と業績の向上がキチンと関係している形で、教育制度が運用されていないことです。
例えば、社員は入社時に成長点数が20点からスタートし、80点を目指して標準昇格年数分の年数をかけて成長していきます。その中で、一般職層の社員の成長点数の平均は50点くらいになります。ある社員は80点、別の社員は20点とバラつきがあり、平均値50点が実はこの会社の業績とイコールです。
仮に全員優秀になって、この50点だった平均点数が80点になったとすると、そのときの会社の業績は1.5倍以上になります。社内にいる優秀な社員を可視化した成長シートを全社員で共有化をしただけです。
つまり、外部研修を一切実施しなくても、社内で成長シートを活用して教育制度を運用することによって、業績を1.5倍にすることが可能なのです。
全ての会社には組織原則2:6:2があり、優秀な社員が2割います。80点を取れていない社員に勤務態度を守らせ、知識・技術を身につけさせ、重要業務ができるように指導することができたとすると、指導を受けた社員は全て期待成果が4点以上になります。つまり、全ての社員が80点に以上になれます。
さらに、この場合の研修に関する費用はゼロになります。教育投資がゼロなのに業績が1.5倍になる。にわかには信じ難いでしょうがこれは事実です。
なぜなら、成長シートは優秀な社員をモデルにつくりますので、必ず成長要素ごとに4点以上の社員がいることを前提につくっていきます。つまり、社内で研修をする時の講師は、モデルとなった優秀な社員です。
優秀な社員は研修で講師となり、教えることによって、評価が高まる約束をしてあります。ですから、喜んで講師になります。
また、受講する社員は、目の前の講師(同じ会社の社員)が4点以上であると知り、自分も間違いなく4点以上になれると思います。そして、成長点数の向上が評価されることもしっかり分かっていますので、この研修に出てこない社員は一人もいません。
日本で最もコストパフォーマンスの高い教育は、この成長シートに書いてある成長要素を自社の社員が教えることです。教える社員も教えられる社員も笑顔で、そして一緒に成長できる。きちんとこの人事制度の中の成長支援制度(評価制度)と教育制度、そして賃金制度は関連していることを社員に示さなければならないのです。
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