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似て非なるものの見分け方:サブスクとSDGsの共通点

SPECIAL

マインドポジション経営コンサルタント

株式会社アトリオン

代表取締役 

マインドポジション経営コンサルタント。社員と顧客の心に占める貴社の位置づけ―「マインドポジション」をアップし、業績向上を目指す仕組み構築のスペシャリスト。30年にわたる中小企業のブランディングと組織開発の経験を背景に、マインドポジション経営実践プログラムをオリジナル開発。時代に合わせて組織を刷新したい経営者や、2代目、3代目社長、社員の力を引き出して社内の体制を再構築したい経営者に高く評価されている。新しい切り口に基づく事業の見直しと組織の再開発を通して業績の2ケタ成長を実現するなど、持続可能な企業の成長に向けた力強い支援に定評。株式会社マインドポジション経営研究所代表取締役

先日、ある企業で新商品の販売方法を検討していたときのこと。「サブスクを検討しませんか?」という私の言葉に呼応して、相手は「サブスクってレンタルですよね」と返してきました。このやりとり、実は初めてではなく、別のお客さんとも何度か繰り返しています。

サブスクとレンタルはどう違うのか?

サブスクリプションの日本語は「購読」です。購読と言えば新聞、雑誌の定期購読が思い起こされます。サブスクという新しい表現では、アマゾンプライムやアプリの利用など、契約期間に対して課金されるスタイルを指します。その期間であれば何度使っても同じ料金、というものです。

対して、レンタルは、商品を1回借りるごとに課金される方式。確かに少し前までビデオのレンタルは1泊2日で300円などと値段がついていました。おなじものを、期間を分けて2回借りれば、再び300円を課金されました。

先日ネットに、無印良品が家具のサブスクを始めたというニュースが掲載されていました。借りる期間が長くなるほどお得になり、期間終了後には手数料を支払って買取りも可。購入ほどハードルは高くなく、いらなくなったら返却すればよいわけで、新しい生活を始める学生や転勤族に受けそうなサービスです。

自動車もサブスクというスタイルを打ち出すメーカーが出てきています。借りる期間に応じて課金がされるスタイル。自動車関連のサイトによると「自動車のサブスクはリース契約と同じ」ということで、これはどちらかというと目新しい言葉で顧客を呼び込む戦略のように見えます。

サブスクの由来からひもといてみます。企業側にとってサブスクの最大のメリットは、顧客が商品やサービスを使う状況をデータとして取得できることです。アマゾンプライムであれば、顧客が見た映画の情報を使って次に何をリコメンドすればよいかがわかるし、同じデータに基づきサービス全体の改善検討もできます。つまりサブスクの前提には、顧客の使用状況がわかるようなデータ取得の仕掛けがあるということになります。

サブスクとレンタル。ただ単に言葉の言い換えだけのようにも見えますが、その裏側では、今後の事業開発に不可欠な顧客情報がとれるかどうかの決定的な差があります。家具のサブスクをうたうのであれば、家具の使用状況が都度分かるような仕掛けがしてあって、その状況に応じてサービス全体の改良ができたり、次にどんな家具を開発すればよいかがわかったりするといった具合です。

さて、ここに来て、多くの人の認識に由々しき認識差を感じるのが、CSRとSDGsです。この二つ、同じものと思っている方が実に多い。両方ひっくるめて「社会貢献活動」と認識される方にもよくお会いします。「SDGsって、植林活動とか、清掃活動とかですよね?」とか「SDGsってCSRの拡張版ですよね」とか言われます。

SDGsを本来の意味どおりに解釈すると、「社会課題の解決を本業にして、利益を生み出し、事業の継続性を担保する」という条件が必ずついてきます。植林活動や清掃活動が利益を生み出すのであればSDGsと呼べるのでしょうが、どんなに想像力をたくましくしても、利益を生む道筋が見えてきません。

SDGsを中小企業の戦略に組み込むことをお薦めしている立場としては、SDGs=CSR=社会貢献活動という刷り込まれた図式に対して、「それは違う」と声を大にして言いたいのです。ですが、普段の会話の文脈であまり言うとウルサガラレルので、言葉をぐっと飲みこんでおとなしくしています。

「サブスクとレンタル、あ、それ、同じものですよね」とか「SDGs?それ社会貢献活動ね?」とか。新しく出てきた考え方を既成概念に紐づけて同一視してしまうと、追いかけるべきトレンドに乗り遅れるリスクがあります。

コロナ禍を経て、世の中は大きく変わろうとしています。新聞紙上には「脱炭素」や「正社員の個人事業主化」など、出現する未来のキーワードがあふれています。SDGsというと流行り言葉に見えますが、その主張の柱は「持続可能性」です。持続可能であることは企業の本質です。その本質に資する考え方なのです。

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