わが家は『エコハウス』なのか?
『エコハウス』とは?
今どきの戸建て住宅には『エコハウス』と呼ばれるものがあります。
『エコハウス』とは、エコロジーハウスの略。和製単語です。 地域の気候風土や敷地の条件、住まい方に応じて自然エネルギーが最大限に活かされることと、さらに身近に手に入る地域の材料を使うなど、環境に負担をかけない方法で建てられ住まうことがエコハウスの基本です。
自宅の新築当時(2002年)は『エコハウス』という言葉は一般的ではなく「その場所の環境と共生する」というニュアンスが強かったように思います。一方、最近ではより「環境全体への影響に責任を持つ」ための取り組みが重視されてきています。
そもそもエコロジーとは、地球環境や自然と、人間や動物などの生態系との間の調和や共存を念頭に置いて、人間社会の持続可能な開発や経済発展を目指す考え方のこと。
環境省エコハウスモデル事業では、「環境基本性能の確保」「自然・再生可能エネルギー活用」「エコライフスタイルと住まい方」「地域らしさ」の4つのテーマが挙げられています。
以下、その骨子です。
(環境省21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業サイトから抜粋)
1)環境基本性能の確保
1.断熱 2.気密 3.日射遮蔽 4.日射導入 5.蓄熱 6.通風 7.換気 8.自然素材
といったことが十分に理解され、実践されていることが基本になります。住まいの基本性能を確保することで、住まいに必要なエネルギーを最小限に抑えることができ、かつ快適な住宅となります。
2)自然・再生可能エネルギー活用
環境基本性能を確保した上で、必要なエネルギーは自然エネルギーを最大限利用し、なるべく化石燃料に頼らない生活ができることがエコハウスに求められます。地域の特徴をよく読み取り、太陽光、太陽熱、風、地中熱、水、バイオマス、温度差を上手に生かす技術や工夫が大切です。
3)エコライフスタイルと住まい方
現在人口は減少の傾向にありますが、その反面世帯数が増え、家庭からのエネルギー消費量が増加しています。集まって住むための新しい仕組みづくりや、農地付き住宅のような新しいライフスタイルの提案が住宅を考える上で必要です。日除けのために草木を植えたり、暑い時は窓を開ける、寒い時は一枚着るなど、住まい手の意識や行動も大切です。
4)地域らしさ
エコハウスがそれぞれの地域で永く受け入れられる、魅力ある住宅であるためには、地域の気候風土、文化に根ざした、地域らしい住宅であることが大切です。その地域らしさは、地域の気候風土、文化などにより長い間培われてきた地域資源でもあります。周辺環境、材料、工法、デザインなど、地域の特色を生かした住宅であることがエコハウスには求められます。
わが家の温度測定実験
18年前に完成した自宅。居心地はすこぶるいいですが、いまどきの『エコハウス』と言われるものとはちょっと違うかもしれない。自宅は太陽熱を空気を媒体に集熱・蓄熱して暖房していて、夏場は庭木が有効に日除けの役割をしていますので、環境省の文面にもまあまあ当てはまっているように思います。が、いまどきの最新の『エコハウス』と呼ばれるものより 1)断熱 2)気密 の水準は明らかに低そうです。そこで、窓まわりの温度をサーモカメラで測ってみました。
⇅まずは雨戸+ガラス戸+障子(室内側のガラス表面は17.9℃)
⇅ガラス戸+障子(室内側のガラス表面は15.4℃)
⇅ガラス戸だけの状態(室内側のガラス表面は9.7℃)
ちなみに、測定時の時間は朝9時頃、外気温は7℃、室温は22.7℃でした。サーモ画像の左端のスピーカー上部が暖かくなっているのは、障子を閉めるまで朝陽が直接当たっていたからです。また、右端の薪ストーブは夜最後にくべた薪の暖かさがまだ残っています。
夏にも同じ窓で測ってみたのですが、我が家はここが熱損失の太いパイプになっているようです。(夏場の画像は、こちらでご覧になってください)
↑クラシックすぎる木の雨戸(開け閉めするときの音が効果音のようです)
冬の窓では、建具の組み合わせによる温度差は思ったよりも少なかったです。雨戸よりも障子の方が寒さを防ぐ効果が大きいようです。これは、屋外の風の強さなどで変わってくるかもしれません。(測定当日はほぼ無風でした)夏に測った際には強烈な西陽による直接の影響もあって、建具の組み合わせによる温度差が大きく出ていました。
ガラスはペアガラスが入っていますが、とてもクラシックなハンドメイドの建具で気密性はぜんぜんでスカスカです。なので無理もない話ですが、冬場の隙間風はしっかり入ってきます。一方で夏場のエアコンかけるかどうかの限界的な暑さに対しては圧倒的な開放面積でギリギリまで対抗してくれます。また、雨戸や網戸・ガラス戸・障子を組み合わせることでの季節・時間帯別の選択性は抜群です。特に温暖な鹿児島+空気式ソーラー集熱ならではの仕様と言えるかもしれません。
誰のための『エコハウス』なのか?
最近では大開口の木製・樹脂製の高性能サッシの選択肢も多くなっていて、ペアやトリプルのガラスの値段も普及が進むとともに下がってきているようです。今後、もっと弾みがついて行くものと思われます。
気候・風土には地域差があります。同じ地域でも、実際には場所によって環境条件には大きな差があります。このあたりをどう捉え、提案にどう反映するか?が、住まい手が感じる本質的な居心地を生んでいきます。また、こういった見たての力は実践の中でしか身についていかないようです。
あなたの会社では、自社なりの『エコ』の定義を明快に持たれていますか?また、お客様への提案は、常にその定義に沿った内容になっていますか?
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