経営者なのに他力本願
独立起業する際、誰もが苦労することの一つに「資金調達」があります。業種業態により必要な資金額は異なりますが、どんなに少なくとも数百万は下らないのではないでしょうか。大抵の場合、独立までの期間で自己資金を貯め、不足する分は家族親族や友人知人から借りる、または出資をしてもらい、それでも足りない場合は金融機関からの借入を行います。
「やりたいことがあるけどお金がない」「お金があれば色々とできるのに」といった声を経営者からも耳にします。そりゃそうです。が、甘い。最初からお金があったら何の苦労もありません。というか起業なんかしなくてもいいでしょう。
それでも恨み言のように「銀行は実績がないとお金を貸してくれない。創業したばかりで実績があるわけがない。結局国金から少ししか借りられなかった。おまけに補助金も落とされた…どうすればいいんだ…これでは進めていけない。なんでこのビジネスを評価してくれないんだ…」などと宣う経営者も意外と存在します。
実際の面談でも同様の話はよくあります。私としては黙って話を聞いているわけですが、途中どうにも我慢がならず、「資金調達も含めて経営者の素養が試されている。そこがクリアできなければ起業などしない方が良い」と少し強めの口調で言うこともあります(もちろん資金調達でお手伝いできる場合はしますが)。
こんな人たちは要するに「他力本願」なのです。自分は相当努力しているから、誰かが支援してくれるのは当然だ。何で支援をしてくれないんだ。周りはもっと俺を評価するべきだ。と自分に対し微塵も疑わずすべて他者のせいにする。これでは会社を経営しても長く続かないでしょう。誰も応援してくれません。
自分がやりたくてやりたくて起業を目指しているのにもかかわらず、それに見合う資金調達ができなければ、その事業はあきらめた方がいいかもしれません。自分でも貯めていない、周囲の人も支援しない、銀行もお金を貸さないでは、残念ながら事業が成功する見込みは薄いと言わざるを得ません。
中途半端に始めてしまうよりは、最初からしないほうがマシです。厳しいことを言うようですが、事実ですから仕方がありません。「お金がないならあきらめろ」と言っているわけではなく、「起業に必要なお金すら集められなければ、やめておいた方が良い」ということです。
会社経営はお金の有る無しが死活問題に直結します。最初の資金調達の段階で躓くようだと、その後の危機を乗り越えるのはかなり難しくなります。そして、危機は必ず訪れます。その時のためにも、資金調達と言う最初の試験をきっちりと合格しなければならないのです。
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