変化に対応するための秘訣とは
「強いものが勝つのではない、変化に対応したものだけが生き残るのだ。」とは、進化論で有名なチャールズ・ダーウィンのコトバとしてあまりにも有名です。ところが実際にこのコトバを残したのは、ダーウィンを研究していたアメリカの経営学者だという説もあるようで、必ずしも出典が明確になっているわけではないようです。しかしながらビジネスの世界のみならず、スポーツや囲碁将棋の世界などでもしばしば引用されており、幅広い世界で「真理を表したコトバ」として重んじられていることがわかります。
コンサルタントとして私が提供しようとしているサービスも、一言で言えば「変化に対応するための準備や決意につながるさまざまな情報の詰め合わせ」、みたいな中身になっています。その意味をご理解いただいた経営者の心の琴線に響いたのか、つかみどころのないコンテンツであるにもかかわらず、何社かからご用命をいただくことができました。
「変化に対応する」とは一体どういうことなのか、具体的に何をすれば良いのか。単刀直入に言われると、なかなか簡単ではありません。コロナさえなければ往来する人の波に揺られて足元すらおぼつかなくなる東京の繁華街ですが、誰も予期せぬ事態によって人の数が激減したことを思い出しつつ、「変化に対応する意味」について少し真面目に考えてみたいと思います。
1. 変化はどこからでもやってくるが、100%青天の霹靂という場合はあまり多くない
コロナ禍は、確かに急激な変化でしたが、それでも第一報から深刻化するまで3か月程度のリードタイムがありました。にもかかわらず社会の捉え方は「晴天の霹靂」みたいな感じだったと思います。
逆に一瞬の変化とも言える大地震などの災害については社会の側が基礎教育で取り上げたり、自治体が災害シミュレーションを繰り返すなどある程度の準備が出来ていて、仮に起こった場合の備えがある程度整備されています。つまり、変化はどこからやってくるか分からなくても、それが台風や感染症だったとしても、ある程度の準備工期は確保し得る場合が多い、ということです。
2. 変化の予兆は必ず目に見えるが、それをそうだと判断するのは難しいことも多い
経営者にとって、むしろこちらの方が条件的には厳しいかもしれません。少子高齢化がもたらす変化の予兆として、若者の職業意識が大きく変わってきていると言われていますが、最終的にはそれが中高年を含む全世代の労働意識さえも変化させることにつながるという議論はあまり強くありません。
でも、今の大学生は10年経てば社会人になり、今の若手も10年経てば間違いなく中堅になるのです。さらに20年経てば彼らがベテランとして社会を支える立場に立つわけですから、今から30年後の日本がどのような働き方の国になっているのか、変化の幅は十分大きいのではないかと思います。
3. 変化に対応するための秘訣とは
日本ではよく「山」という言い方で直面する課題を表現することがありますね。捜査のヤマ、あるいは集中治療室で「今夜がヤマ」といえば時間的に一晩持ちこたえることが課題となっている状況を表す、というような。このように日本では、課題とはどうしても「上って降りる」的なものである、という概念が社会の隅々まで行き渡っています。
変化への対応を課題であるとするならば、その連なりは実はアルプス山脈のように四方八方に広がっていて、そのうちどれが次の課題としてやってくるのか、常に目を凝らしていないと見誤る危険性がある、と言う認識の方が現実に近いのではないでしょうか。
つまり、「上がって降りる」のではなく、予めアタマを高地順応させておき、一つの課題の後にすぐまた別の課題がやってきても対応できるくらいの備えをしておくことが必要になるのです。
一難去ってまた一難、というと大変に聞こえますが、実際の登山で体が順応するように、予め高地順応させておくことでさほど無理なく連続的な課題をこなすことができるようになります。むろん、時には下山休暇も必要になりますが、終わりを設定するのが難しい課題のスケジュールを決めるよりも、むしろその方が全体を計画しやすくなることはお分かりいただけると思います。
広角視点で変化の予兆を掴み、山脈を縦走するように課題を解決して行く。一言で言ってしまえば私はコンサルティングを通じてそんな働き方を提案している、ということになります。そうすることで組織の機動性は確実にアップします。変化を読んで勝機をつかむための視点をこれからも提供し続けて行きたいと思います。
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