過剰な準備のワケ
これは経営者の方に限らずですが、「すべての準備が整ってから」ようやく物事を始める人が一定数いらっしゃいます。しかもその準備と言うのは大抵「過剰気味」になります。新商品開発の際の市場調査を必要以上にしたり、新たな人事評価制度をつくる際、重箱の隅をつつくような細かな事柄が決まるまで導入を見送ったり‥といった感じですね。
いわゆる慎重な人たちで、「石橋を叩いて渡る」を地で行くようなイメージです。これは一概に悪いことではないのですが、過ぎたるは猶及ばざるが如しの言葉通り、一番のデメリットは出遅れて機会を失うことです。新たなことを始めるのは当然リスクがあり、やってみなければわからないことが大半です。もちろん事前の準備は必要ですが、躊躇していれば先を越され、ビジネスチャンスを逃してしまいます。
これは何もビジネスに限らず、プライベートでもそうです。あなたが欲しいモノやコトは誰かが欲しがっています。あなたがやりたいと思ったことは誰かがやろうとしています。早い者勝ちというと乱暴ですが、会社でも個人でも、リスクを取って行動した結果の積み重ねが今であり、公私問わず、先立って行動することは一定のメリットをもたらします(繰り返しますが準備は必要です)。
では、なぜ過剰ともいえる準備をしてしまうのでしょうか。理由は単純で、「失敗したくない」からです。もちろん誰でも失敗は嫌なものですが、新たなことを始めるのに失敗はつきものです。むしろ失敗から学べることの方が多く、さっさと行動を起こした方がよい場合が圧倒的に多い。にもかかわらず躊躇してしまうのは、先述した失敗したくないという理由に加え、実はもう一つ理由があります。
それは「本音ではやりたくない」からです。つまり何だかんだと言っても、現状維持を望んでいるのです。新店を出すのも、報酬制度を変えるのも、ネット通販に参入するのも、新商品を開発するのも、キャッシュレス決済を導入するのも、価格を改定するのも、実は本音ではやりたくないのです。個人個人を見ても、「今は雇われているが、いつか独立する」といって何年もそのままの人が本当に多い。
コロナ禍でどんなに厳しい状況になっても、行動しない経営者も中にはいらっしゃいます。それは個人でも同じで、どんなに支援をしても、本人が動かなければ話になりません。キツイ言い方になりますが、私は「有言実行」「言行一致」の人たちとの付き合いを大事にしていきたいと思っています。人は簡単に変われない上、他人が変えることは不可能だからなおさらです。
経営者の皆さん。良いことも悪いことも含めて、現状が何年も続くことは絶対にありません。現状を維持しようとは思わず、自ら変えていく行動を起こしましょう。行動すれば自ずと考え方も変わります。
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