経営者が慌てふためき一喜一憂しても碌なことがない
私の個人セッションは相手が変わろうが基本内容は変わらない。相手が個人事業主であろうが、100億円企業の経営者であろうが、それ以上の大手企業の経営者であろうが話す内容に変わりはない。何故なら私が経営者に求める経営者像が不変で同じだからだ。「修己治人」の実践こそが経営者を経営者たらしめることができると考えている。
私の新著『幸せは不幸な出来事を装ってやってくる』(マネジメント社)が出版され1か月になる。お読みいただいた方々から非常に嬉しい便りやメールがくる。これまでになくいろんな人たちから好評をいただき嬉しく思っている。後継者のみならず父親である経営者の方からも共感の葉書をもらっている。
出版の度に親しくしている方々に著書を贈っている。その方々からの反応が多いのも今回が初めてのことだ。自分がそうなのでよくわかるが、えてしてもらった本というのは必ずしも興味を惹かれるものではない。なかには頂戴して申し訳ないが読まずに本棚に刺してしまうことだってある。
それを承知で著者としては贈っている。一人でも多くの人に自分が書いた本を読んで貰いたい、ただそう思って1冊1冊送っている。先日ある後継者に贈った本の感想を聞かせて欲しいとメールしてみた。この後継者は普段からあまり本を読まないと言っていたので贈ったものの恐らく読んでいないだろうと思っていた。
ところが、彼から面白かったので1日で読みましたとメールの返信がきた。「素直さ、誠実さがなければ人の上に立てないんだと改めて実感しました」との感想まで付いていた。この度の本は彼に是非読んで貰いたかった。すでに読んでくれただけでなく、そのうえ感想までくれたことがとても嬉しいことだ。
今日は業績が思わしくなく悩める個人事業主との面談。聞いてみると今週は予約が入っているが来週以降がまだ入ってないと落ち込んでいる。コロナ禍でのこれまでの惨状を思うと今週予約が続けて入っていること自体が喜ばしいことだ。今週の予約を素直に喜ばず、来週の心配を先取りし浮かぬ顔をしている。
その個人事業主に「久しぶりに続けて入った予約を素直に喜びなさい。今週のお客に全力でサービスすることに集中しなさい。その結果が来週以降の予約に繋がる。折角動き始めた波があなたのネガティブな思考のせいで引いてしまう。まだ来ぬ来週を悲観して今嘆くなど馬鹿なことは無い。おやめなさい」そう申し上げた。
コロナ禍にあり業績が思わしくない企業の経営者のなかにはこの個人事業主と同じようなネガティブなマインドに陥っている方が多くいるかもしれない。企業は社員数の多寡に関係なく経営者のマインド如何が経営に大きな影響を与える。コロナ禍のような非常時こそ経営者が心強くあらねばならない。
企業の取る手立てが積極策、消極策いずれであろうと経営者が強い信念に基づいての判断であればかまわない。足元が揺らぎ、目先が見通せないなか経営者が不安に駆られ疑心暗鬼で打つ手立ては感心しないものが多い。どうか今しばらく辛抱され足元をしっかり見ながら一歩一歩確実に前に向いて進んで欲しい。切にそう思う。
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