VOL10. お客様視点と10年顧客戦略
10年顧客が増える企業の現場は「超お客様視点で考えている」、
たどり着けない企業の現場は「普通のお客様視点で考えている」
前回のVOL9「10年顧客戦略とお客様満足」の中で、お客様満足は「お客様に届けることができた量が大事」で、お客様から見て80点ではなく、90点取る必要性をお伝えしましたが、今号では実際に90点取るために、お店の現場ではどんな視点が大事なのか、どんな「お客様視点」が大事なのか、お話したいと思います。
「お客様視点」は、お店の現場でとても重要です。今回紹介するお客様視点の内容を経営者(事業責任者)の皆さんが現場の改善点を考える際の起点にしていただければと思います。
- 2つのお客様視点 「お客様視点」は大きく2つあります。
一つ目が「普通のお客様視点」、二つ目が「超お客様視点」です。 結論から言います。お客様から90点取るために大事なのは「超お客様視点」です。なぜそうなのか、「普通のお客様視点」「超お客様視点」を順番に説明していく中で明らかにしていきたいと思います。
- 「普通のお客様視点」とは…
「普通のお客様視点」とは、「どうすれば、お客さん、この商品を買ってくれるかな…」「どんなトークをすれば、お客さんはこの商品を魅力的に思ってくれるかな…」と考えるお客様視点です。
お客様視点で考えること自体は素晴らしいことですが、本当のお客様視点ではありません。お客様のことを考えていますが、立場がお店側だからです。これは、売るためのお客様視点と言えるでしょう。
習慣というのは、恐ろしいもので、お客様を心から大切に思っている店長・スタッフが全員集まったミーティングでさえ、売るためのお客様視点で考えてしまうことがあります。
- 「超お客様視点」とは…
「超お客様視点」とは、「もし自分が“自分のお店のお客様”だったら…」と考えるお客様視点です。自分の立場を、お店ではなく、お客様に移してしまいます。それによって、今よりもお客様が喜ぶ、嬉しくなる現場活動が生まれる可能性が大きく高まります。
「超お客様視点」で考えることは、とても楽しいことです。自分がお客様だったらしてほしい、嬉しいと感じることを素直に考えればいいからです。売る側の立場はとりあえず、脇に置いておきます。 スタッフの中には、お客様としてお店に来ていて、自分が気に入っているお店で働きたいと思い、スタッフになった人もいるでしょう。その場合、自分がお客様だった時に、立ち返って考えてもらえばOKです。
もちろん、仕事の時間は限られますし、費用対効果も大事なので、「超お客様視点」だけで全て済む訳ではありません。「超お客様視点」で考えて出てきたアイデアの中から、現実的に実施できることを選んで実践していきます。「普通のお客様視点」では出てこない活動をお客様に届けることで、お客様から見て90点を取ることができます。10年顧客化も進みます。
- 「超お客様視点」の実践事例・成果
ある化粧品小売業で「超お客様視点」で商品のサンプル配布を実践してもらいました。具体的には、スタッフみんなで「自分がお客様だったら…」という視点、「自分だったらどんな対応を受けたら、化粧品のサンプルをもらうか、自宅に帰ってからサンプルを使うか?」をミーティングして、実践してみたのです。その結果、サンプルの配布数が増えて、サンプルの返り(再来店)も増えました。「普通のお客様視点」から「超お客様視点」に変えることで、現場の成果が変わったのです。
数年前まで、私自身も「超お客様視点」をそれほど大事だと考えていませんでした。 お店の現場に入る機会が増え、現場の皆さんと話していく中で、「現場はお客様視点で毎日考えてはいるけど、常に企業・店舗・売り手の立場から、どうすれば売れるのか、その方向から考えることが習慣になっている」事実が分かってきました。 最近特に、お店の現場に「超お客様視点」で考えることを浸透させていく必要性を強く感じています。
- 優秀な売り手は、理解まで少し時間がかかる。
売上目標に対して意識が高い店長・スタッフ、売上目標をクリアしている店長・スタッフの中には、「超お客様視点」という考え方になじめない、共感できない、腑に落ちない人もいます。なぜなら優秀な売り手だからです。
経営者の皆さんには、そんな店長・スタッフを、時間をかけて見てあげて欲しいと思います。優秀なスタッフは、3ヵ月~半年ぐらいで「超お客様視点」が大切なことを納得してくれることが多いからです(実際に売上がアップするからです)。それからは皆さんの心強い味方になってくれることはもちろん、自分自身にとっても大きな成長となるでしょう。
- まとめ
今現在、事業を展開している企業で、お客様視点ではない企業、お客様視点ではない現場はないでしょう。ただ、自社の現場が「普通のお客様視点」なのか、「超お客様視点」なのか、経営者(事業責任者)は、丁寧に見つめることが大事です。
丁寧に見つめるとは、例えば…
・A店は「普通のお客様視点」50%、「超お客様視点」50%だった。
・B店は「普通のお客様視点」70%、「超お客様視点」30%だった。
・C店は「普通のお客様視点」30%、「超お客様視点」70%だった。
といった形で見ることです。
レベルの高いお客様満足を現場で実現するために、10年顧客化を進めるために、少しずつでも「超お客様視点」の割合(%)を増やしていくように現場を導くことが経営者(事業責任者)の役割です。現場は自分のことを客観的に見ることができないからです。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。