「現状維持の兼任組織、変革のための専任組織どちらが、人時生産性を引き上げられる可能性が高いか?」
「先生、うちは 人の調整がつかないので、業務改革担当の専任制はちょっと・・・」とあるチェーンの経営者からのご相談です。
かつて、人口が増えていた頃、全ては売上中心に動いていました。ある意味、誰がやっても上手くいく環境にあり、本部は兼任体制でも十分回すことが出来ました。運営部長と商品部長が兼任、中には大型店の店長も兼務されてるとこもあり、その調整をSVがサポートするといった構図です。
売上を上げるためには、スピードが命でしたから、運営部長と商品部長兼務にも利点がありました。部課長職の人件費負担もないことから、多くの企業が、この兼任方式を採用してきました。
ところがここ数年の人口減少による、売上低下とコスト増で、これまでの、大まかなやり方の見直しが求められています。
売り上げが上がれば、さほど利益がとれなくて良かった企画も、人時売上の観点からみると、収益率が低い企画というところに位置づけられるからです。
そもそも論として、どの新規企画も、事業投資であることにはかわりまりません。収支計画を作り、売上実績だけでなく、人件費についてもしっかり押さえておかなければ、企画の実効性について経営判断が出来ないからです。
語弊を恐れず申し上げれば、売上が上がらない状況下で、収益力を上げるには、売上と経費のバランスを明確にし、店の販売管理費率を下回る本部企画は全て見直していくということです。
「え!何もできないのでは?」という声が聞こえてきそうですが、
―――ハイその通りです。とハッキリ申し上げています。
儲からない企画は、やればやるほど赤字が増え、利益を減らすことにしかならないからですが、まずは、そういった企画がどのくらいあるのか?書き出してみてください。とお伝えしています。
その収支合計見込はどのくらいなのか?短期間で見込が立たないのであれば、投資回収は何カ月なのか?というレベルで考えていただきたいのです。カンタンな話、将来性のない企画は一旦止めて、儲かる見込みが立った時点で再開しても遅くはないとの判断からです。
こう申し上げると「今までと、何も変わらないのでは?」という声が聞こえてきそうですが、やるべきことは全く変わってきます。
例えば、運営部長は、人時予算遵守に向け、儲からない企画や業務改善を専門に担う組織を設定し、人時引下げを実行させていくことになります。
一方で、商品部長はというと、売上を上げることが責務となります。そこでは、商品改廃、価格設定、棚割り等 売上を上げる為の設計をする組織が必須となります。それを着地させるために、店舗では人時をしっかり配置するように店舗運営部に要請を行います。
勘の良い方ならお気づきのことと思いますが、「運営部長は、人時を減らす」一方で「商品部長は、人時投入を要請する」という利益相反が起きます。つまり、人時売上を上げる企業となるためには、商販分離が前提となるのです。
大事なことなので繰り返しますが、運営部は人時を下げ、商品部が売上を上げる。この2つの歯車が動くことで、企業の人時生産性は、はじめて改善に向け動き出すのです。
企業規模や店舗数に関わらず、すでに、専任化にとり組まれている企業では、業績は飛躍的に変わってきています。人時生産性に直結するとともに、社内のコミニケ―ションロスがなくなり、やりたいことに集中できるようになっているのです。
さあ、貴社では、まだ、兼任組織で売上だけに時間をかけ続けますか?それとも、人時売上で飛躍できる組織でやりたことを実現させますか?
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