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経営者が儲けることを忘れている

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

先日、顧問先企業に新しいビジネスモデルの提案をした。ビジネスモデルには骨格、根幹となるものがある。それは誰がどのようにして誰に自社のサービス、商品を提供するかということだろう。なかでもビジネスモデルの根幹とはそのビジネスモデルの利益の源泉ともいえる最も大切で肝心要となる要素のことだ。

もっと簡単に云うなら、儲かっているビジネスがあるとする。そのビジネスのここだけは変えてはダメだというところがある。そこを変えてしまうと折角儲かっているビジネスが儲からなくなる。どのようなビジネスにも必ずそのようなビジネスのコアとなる要素がある。それをビジネスモデルの根幹と私は云っている。

どのような儲かっているビジネスモデルも時の流れと共に経年劣化を起こすことになる。それはこれまで多くの企業の成長から衰退へ至る姿をみて明らかなことだろう。成長期から停滞期に入った企業はなんとか業績を回復させようといろいろと手を尽くす。しかし簡単には業績が上向かない。そうするうちに業績が右下がりを始める。

多くの企業がこのような道を辿って衰退していく。かつては儲かっていたビジネスモデルそのものが時代の変化、様々な生活環境の変化などにより儲からなくなってしまう。小手先の改善、改良ではもうどうにもならない。思い切った手立てが必要となる。それまでと違う新たなビジネスモデルでなければ生き残れない。


 
 そんな企業がある一方で、ビジネスモデルがまだまだ有効であるはずなのにどうも上手くいかないという企業がある。コロナ禍以前に売り上げが上がらず利益が出ないという企業がコロナ禍でさらに業績が悪化している。実は今の多くの企業がこのような状況だろうと思われる。そしてなんとかしなくてはといろいろと手を打ってきたことだろう。

ここでひとつ考えて欲しいことがある。業績を回復させようと打ってきた手立てが実は折角儲かるはずのビジネスモデルを毀損していないかということだ。初めに言ったビジネスモデルの根幹を変えていないかということを確認してほしい。不況下にありビジネスモデルの見直しをしてきただろうが、知らぬ間に儲けるための仕組みを変えてはいないだろうか。

良かれと思いいろいろと改革、改善をしてきたけれど冷静に見直してみると最も肝心な儲けるためのビジネスモデルの根幹を変えてしまっていないだろうか。安易に商品、製品単価を上下させていないだろうか。売り先、仕入れ先を変えていないだろうか。顧客へのサービスの内容が変わっていないだろうか。等々。

コロナ禍にあり、どの企業も事業の見直し見極めをしていることだろう。その際、是非自社のビジネスモデルの根幹とは何かを確認して欲しい。それまでしてきた企業努力という名の改善、改革によりビジネスモデルの根幹が毀損されていないか確認して欲しい。そしてもう一度根幹を基にビジネスモデルの立て直しをして欲しい。

最近よく事業が思わしくないとの相談を受ける。その度にこう話している。元々あなたの会社は何で儲けてきたのですか。そして今は何で儲けているのですか。そう問いかけることから始めている。段々と話が進むうちに今の問題点が浮かんでくる。体に付いた汚れをふき取るかのようにいろんな付着物を取り除いてみると、元々の儲けるための根幹が見えてくる。

前述した顧問先にはくれぐれもビジネスモデルの根幹だけは触らないで欲しいと念を押している。儲けるための根幹、骨格にこれから肉付けをして欲しいのだと伝えている。事業化するにあたり様々な問題が出てくるだろうがそれらすべてを解決していくことで新しいオリジナルなビジネスモデルができ上っていくことになる。これと同じ作業を今の事業を見直す際にも是非して欲しいと思っている。

 

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