思いを込めた上で形を大切にする
「今日は浄土真宗本願寺派の作法に則って儀式を行いますが、作法について細かいことは申しません。」
「いろいろな宗派の方もいらっしゃると思いますので、故人を偲んで心をこめてお参りしてください。」
昨年伯母のお通夜に参列した時のこと、式が始まる前にお坊さんからお話がありました。とかく、形式にこだわることが多い昨今。大事なのは、形式ではなくて気持ちだということを改めて思い出させてくれたお言葉でした。
一方で、不思議なことに「形式にこだわらなくていい」と言われると、逆に「正しいやり方っていうのはどうなのか?」と知りたくなります。私も詳しいことは知りませんが、ご焼香の仕方一つをとっても本来はその動作一つひとつに意味があるはずです。
それを、単に「焼香は3回行う」とだけ教えるのか、「3回には仏、法、僧の三宝を敬い、内にある三毒の心を清めるという意味がある」と説明した上で「だから、焼香は3回行うのですよ」と教えるのか、によってやる側の意識も大きく違ってきます。
さて、会社においても様々なルールが存在しています。しかし、教える側が、「これはウチのやり方だから」と言って、本来の意味合いを省略して形式ばかりを教えていないか、一度振り返ってみることも必要です。
コンビニなどで、店員さんが「いらっしゃいませ・・・」と入ってきたお客さんの方も全く見ずに気のない挨拶をしている場面に遭遇すると、いつも「なんだかなぁ~」と感じます。
私は業務の標準化のためにはマニュアルは必要と考えています。しかし、マニュアルが本来目指しているものやマニュアルができた背景をきちんと伝えていないと、マニュアルは単なる文字の羅列で終わってしまいます。
マニュアルを作るにあたっても、その目的、意義、背景、理由は必ず伝えましょう。
形式にこだわることなく、思いを込めた上で形を大事にする。亡くなった伯母が最後に教えてくれたのかもしれません。
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