グループ経営に、手を出してよい条件とは?事業部長クラスの人材を調達せよ。
「矢田先生、色々な事業をやりたいのです。アイディアがどんどん湧いてきます。」
W社長は、創業して10年が経っています。私の本を読み、複数の事業をやってしまっていることに気づきました。
「それでも、やりたいのです。自分は、事業を立ち上げることが好きだと解りました。コンサルの依頼を受けていただけないでしょうか。」
実は、このタイプの社長は多いのです(特に創業社長)。そして、その多くが、複数の事業を持って二進も三進も行かなくなっています。私は、一つの条件を付け、受けることにしました。
再現性を求める。
事業とは、「一つの儲けのパターンをどんどん広げること」と言えます。
同じような課題や欲求を持った対象を、顧客と設定します。そして、その顧客に、その欲求を満たすためにつくった商品(サービス)を提供します。
その顧客群を効率よく集め、そして、成約し、提供し、代金を回収するまでを、仕組みで回します。この仕組みこそが、再現性をもたらしてくれます。
これが、事業の原則です。
沢山の顧客や沢山のメニューを持ち、相手合わせの事業をやっている会社は、原則に反していると言えます。そして、仕組みづくりでなく教育に取り組めば、それは属人性をより高めることになり、真逆に向かうことになります。
その結果、年商数億円で停滞することになります。これらは、いままでもこのコラムでお伝えしてきた通りです。
そして、一つの事業とそのための仕組みをつくる過程で、一緒に組織をつくっていきます。
人の集合体である組織に対しても、再現性を追求します。
人は入れ替わっていきます。それでも、闊達さと規律の風土を持ち、自分達で改善のサイクルを回すように、仕掛けを施していきます。
そして、そこから得た利益を、もっと大きく、もっとスピードを上げるために再投資します。働くスタッフや営業所を増やし、ノウハウを共有し、儲けの拠点を増やしていきます。
更に商品や仕組みの改善をガンガン行います。それにより、競合に負けない質とスピードを得ることができます。広告も大きくかけていきます。それにより、大きなシェアを取りに行きます。
その時には、より組織はその強さを発揮することになります。また、規模のメリットを得ることになります。
誰が、いつやっても同じような結果が出る。
その再現性を、事業にも組織にも、仕組みにより施していきます。再現性の無いものは、すべて排除すると考える必要があります。当然人が関わる以上、すべてを排除することはできません。必ず、「人」が残ります。だからこそ、この考え方が必要になるのです。
事業、仕組み、組織、この作り方を、社長は身に付けることが必要です。
W社のコンサルティングを受ける上で、私は、一つ条件を出させていただきました。
「一つの事業を選び、まずはその一つの構築を進めること。」
この時のW社は、少なくとも4つの事業をやっていました。W社長は、素直にこの提案を受け入れます。
まずは、事業の構築を行います。年商10億円の条件と照らし合わせ、大きく成る可能性があり、社長の好みに合う事業を一つ選びます。そして、一つひとつ条件を満たすために取り組みます。提案書をつくり、マーケティングの流れを確認します。
W社長は言われます。
「いままでは、小さい単価ばかりを追っていました。」、「これなら社員でも、契約が取れそうです。」。
そして、仕組みの構築に取り掛かります。
W社長ここでも、感想を言われます。
「ミスが起きて当たり前でした。」、「外注をもっと上手に活用できそうです。」。
そして、組織をつくっていきます。
「管理者の彼らも、動きやすいはずです。」、「決めたことが定着しない理由が解りました。」。
W社長は、その持前の好奇心ですべてを吸収していきます。そして、どんどん社内に取り入れてきます。その結果、1年で会社を大きく変えることが出来ました。
W社長は、神妙な顔で私に訊きました。
「先生、他の事業にも取り組んでいいでしょうか?」
やりたいことに素直なW社長です。
私は、はいと答えました。いまのW社長なら、他の事業も、正しくつくり変えることができるはずです。そのうえで、確認をしました。
「ただし、もう一つ仕組みをつくり上げる必要があります。」
W社長もすでに理解していました。「事業部長レベルの人材を採用する仕組みですね。」
事業を任せるためには、次の二つが必要になります。
一つは、「仕組み」です。仕組みがあることで、その人材は、その事業の全貌を掌握することができます。また、社長と共通認識を合わせることができます。その後も、その仕組みをベースに自分なりの改善を積み上げることができます。
もう一つは、「その事業に情熱を燃やすことができる人材」です。
どんな事業も、一人の情熱によって成り立っています。その人材は、四六時中その事業のことだけを考えています。それによりその事業は伸びるのです。
『仕組み』と『人材の調達』これが、絶対に必要なのです。これがなければ、複数の事業も、複数の会社もあり得ないのです。無ければ、間違いなく二進も三進もいかない状況に陥ります。
W社長は、人材の調達の仕組みの構築に全力をかけました。その仕組みは、一般の社員を採用するものとは全く異なります。自分が関わるところも多分にあります。
その半年後に、人材であるA氏を採用することができました。一人目の採用は、非常に重要なものと考えていました。この後に続く事業のトップのモデルになるからです。
A氏に、既存の事業を任せることにしました。経営計画書があり、PDCAはすでに回っています。この経営の仕組みがあるため、短時間で引き継ぐことができます。
最初は、社長自身が事業部長との「距離感」に迷うことがあるものの、3か月ほどで掴むことができました。そして、残った事業の仕組化と次の人材の調達にかかったのです。
W社長は言われます。
「事業を、一から立ち上げられる人材は、そう多くありません。軌道に乗った事業を、更に大きくする人材は、思った以上に多いことが解りました。」
実際に、A氏がその事業のトップになってから、2年で売上げは倍になりました。いよいよW社長は、念願の新規事業に全力を向けることができます。
大きくなる事業の作り方を身に付ける。
その事業を回すための仕組みの作り方を身に付ける。
組織の作り方と動かし方を身に付ける。
これにより、会社はステージを上げることができます。また、社員も活躍できます。
そして、人材の調達の仕組みをつくる。
これにより、社長は次のステージに移ることができます。
それも全く異次元のステージに進むことになります。
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