ショールームは商品化のキーデバイス
「先生、うちはショールームを持ってないんで売り上げがイマイチなんでしょうか?ショールームがあればうまくいくということでしょうか?」
先日、当社に経営相談にお越しになった製造業の経営者の方の言葉です。当社はショールーム営業のコンサルティングをしていますので、この様に早とちりされる経営者の方がたまにいらっしゃるのですが、そのようなときは「ショールームがあればショールーム営業ができるとは限りませんよ」と申し上げています。また、「ショールームがないからショールーム営業ができないということもないですよ」とも申し上げています。
この経営者の方、ショールームを造ったら顧客が押し寄せてくると、何か勘違いか夢見心地のようなことを思っていらっしゃったようです。はっきり申し上げておきますが、どれだけ立派なショールームを造っても造っただけでは顧客は来てくれません。ましてやそれで契約してくれるなんて全くありません。重要なことは、ショールームにいかに集客するか、そして自社製品をアドバイザーや営業マンがいかに商品化するか、ということです。
製造メーカーは、これまでの製品研究や市場調査などにより、消費者ニーズにマッチした製品を作り出してきています。しかし「売れるはず」と世の中に出しても、期待したほど売れないケースが出てきます。これは、作った製品を商品にできていないことが原因です。製品は作り手の理屈であり、商品は消費者の視点であるからです。いくら消費者ニーズにマッチしたはずの製品を作っても、その製品を商品に変換できなければ売れるものも売れません。製品を商品に変換する場所は正にショールームであり、それを可能にするのがショールームアドバイザーや営業マンなのです。
しかしショールームを持てない企業もあるでしょうし、持つ必要のない企業もあります。財務的な問題から持てないとか、業種が卸売りでそもそも持つ必要がないなどの理由からです。そういった企業には、当社は「生産設備があるならそれをショールームにしましょう」もしくは「メーカーのショールームを活用しましょう」と申し上げています。実はこの方がメリットが大きいからです。
大切なことは、ショールームを活用することであり、造ることではありません。持てない、持つ必要がないなら他の手があります。工場見学に来てもらう、サプライチェーンの企業と連携するなど、いろいろ手立てはあります。
今後はますます、自宅にいながらショールームの商品をオンラインで見られるようになっていくでしょう。しかし消費者は、ショールームで実際に商品を見たり触れたりすることで実感がわきます。これからもショールームは商品購買の重要なデバイスとして機能することでしょう。
このような時代に、あなたの会社は商品化のデバイスであるショールームをお持ちですか?
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