「とにかく人時予算を決めたがる企業と、戦略を立て人時を使いこなす企業、その決定的な違いとは!?」
「先生、人時予算はどうやって決めればいいのでしょうか?」とあるチェーン経営者からのご相談です。
―――――人時予算設定で、絶対やってはならないことがあります。それは、・・・
単純に前年実績を予算にする。ことです。
「え?では何を手掛かりにつくればいいのか?」という声が聞こえてきそうですが
理由はシンプルで、現状の実態である「昨年実績」を目標にしても、作業が増えただけで、何もプラスとならないからです。
そもそも、目標設定の理由を明示せずにいきなり予算化しても現場は納得しません。また、経営目標と個人評価目標が一致していなければ誰もやろうとしません。さらに、人時売上のカイゼンの手順を個人任せにしても達成できないのは、誰の目にも明らかだからです。
何でもそうですが、その骨格となる全体計画があり、それに合致した予算を作っていくのが経営戦略です。かつて人口増で、売上が増えた時は、人を追加するやり方もよかったわけですが、今は、売上が減る時代です。少ない人でより良いサービスが出来るようにしていかなくては、生き残ることも難しいのです。
そこで、戦略なしに、やみくもに人を減らせば「もし特注が入ったら」とか「クレームがはいったら」とか「本部緊急指示が来たら」といった対応できなくなるのではないか?という、見えないことへの恐怖心を煽るだけで、抵抗勢力をふやすだけだからです。
「そうそう そこなんです」と大きく頷かれる社長もいらっしゃるかと思いますが、
これまで「見えなかった」ことを解決していくことで、現場は動きがとれるようになり、その道筋を示すことで、みえてくる景色は全く変わってきます。
例えば、各自の動きが、一つの画面で共有出来るしくみがあるだけで、店長やチーフは業務指示をその場に居ながら出せるようになります。また、各進捗状況が分かることから、早めの応援要請を出すことも出来、時間内に終わらないといった不安は解消されます。
まずは、これまで、勘と経験で積み上げらて来たやり方から、個別にかかる業務と工程が計算されたやり方に変えることで、会社としての基準を創っていく事になります。
人時予算が分かりにくいのは、商品や接客のように競合を見て真似るやり方ができないことから、自己流で進めようとし、自分のものにできない理由はここにあります。
自社を題材に、売上と人時はどういった関係性があるのか?といった視点で研究を重ね、初めて実務で活用できるようになるのです。
それが分かるようになることで、働いている従業員が、今、何をやれば利益に繋がっていくのか?ということが見えるようになり、その中で、自動化すべきことや、取りやめたほうがいいことがわかります。そして結果が変わることで、経営に余裕がでてくることから、部門の壁が低くなり、社内の風通しも良くなります。
そういう伊藤も、前職時代、これを使いこなすことで、通常業務が7割以上減り、余った時間を、戦略を考える時間に充て、生産性を上げ続けることが出来たわけです。
人時売上予算を設定するうえで大事なことは、他社まねではなく、自社の店舗を題材に、それに対して軌道修正を行っていくこと、これなくして、成長できないのです。
さあ、貴社では、まだ、前年比を目標に掲げ、立ち止まりますか?それとも先を見据え、戦略に着手し成長し続けますか?
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