強みを正確に知るには
世の大半の経営者は自社の、あるいは自分自身が持つ「強み」に気づいていません。正確には、経営者を含めた世のほとんどすべての人は…と言い換えたほうがいいかもしれません。それほどまでに自分のことは自分が一番わかっていない。コンサルタントの仕事をするようになって本当に強く感じます。
強みが分かっていないのはまだましな方で、勘違いしている経営者も良く見受けられます。はたから見れば全く向いていないにもかかわらず、自分にはその力があると新規事業に手を出してしまうのは日常茶飯事。例えば飲食業。自分がやれば絶対成功すると皆が思ってます。ほとんどが3年以内になくなってしまいますが。
私を含めて経営者、いや全ての人が知るべきは、たいていの強みは自分ではそう思っていないこと、つまり「いつも当たり前にやっていること」が強みである事実です。当たり前がゆえに、自分自身で気づきにくい一因ともなっています。
ところで強みとは何でしょうか。これは辞書の数だけ、人の数だけ定義がある中で、私は大分端折って「他人よりうまくできること」だと思っています。つまり強みとは相対的なものであり、比べて初めてわかるものなのです。ということは自分だけ見ていても絶対にわからないのが強みであり、しかも本人が正確に自分と他人を比べることなどまずもって不可能。
ですので、自分自身の強みを知るには、「人に聞く」のが一番の早道であり、かつズレの少ない情報が手に入ります。自己分析が無意味だとは言いませんが、その時間のほとんどはムダとなるでしょう。
自己分析でよくある間違いの一つが「自分の好きなこと」と「強み」をごちゃ混ぜにしてしまうことです。好きだからと言って他人よりうまくできるとは限りません。あくまで好きなだけです。逆に嫌いなことでも、他人よりうまくできればそれは「強み」となります。ややこしいですが。
これらのことから、結局自分の強みには「気づけない」のが必然であると思います。さらに自分の感情が入ると、長年続けてきた仕事が自分の強みだと過信してしまうこともあります。気づけば誰からも必要とされない状況になっているのに、その仕事に固執し、二進も三進もいかなくなってしまう。
自分自身が持つ強みは、実は他人、とりわけ近しい人たちがよく知っています。ただし、気を付けなければならないのは、周囲の人たちもそんなに視野が広くないことです。自分たちが知っている範囲でしか判断できません。
したがって、自分の強みを正確に知るためには、近い関係性の人たちに聞くと同時に、仕事、プライベートなどで普段から関係性を広げておき、より遠くから、より客観的な意見をもらえる環境をつくっておきしょう。そうすることで自分の強みが浮き彫りとなり、「何をすればいいか」がはっきりし、無駄に思い悩むことは少なくなります。
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