勝つために、〇〇〇ことに全集中。
新型ウイルスをきっかけに、商品戦略においては、商品リニューアル体制を基盤とし、さらに超然と突き抜けていく、たったひとつのこと。それは、泥臭くベタな言葉で表現すれば、「愛」です。商品愛。これに尽きます。商品愛をわかりやすい言葉に言い換えれば「大好きという気持ち」です。
コラムでも紹介しました「コンサルEXPO2020」がつつがなく終了しました。東京都立産業貿易センター浜松町館にて10月21日、22日に開催し、ミニセミナーに登壇しました。そもそも今なぜ「商品リニューアル」についてお伝えするのか? 準備する間、自身に「WHY」を問い続けていました。
会場とオンラインでの経営相談では、コロナ禍の厳しさが切実でした。「商品が売れない。商品を変えずに何とかして売りたい」「商品群の整理をしたい」「今ある商品で、新商品を作りたい」等々です。商品サービスをお客様に買っていただいて、利益を生み出していくこと。経営者の課題を解決していくことが最重要です。
しかし、手法が本質ではないのです。大変化の時代、当たり前のことですが、どんな企業でも、既存商品が時代に合わなくなって商品リニューアルを余儀なくされています。ゆえに世の中的には「ネーミングでバカ売れ」的なノウハウ本、セミナーがと人気を博しています。
それを言葉どおりに受け取ってみても、実際にネーミングのリニューアルをやってのけること、実はとてもむずかしいものです。仮にやってのけたとしても、それがバカ売れするためには、情報過多、かつマーケットが大変化している今の時代、いつ・どこで・だれが、そのリニューアルを知ることになるのでしょうか? そもそもモノがあふれた時代に、その商品リニューアルで本当にお客様は満足できるの? 喜び、ハッピーになってくれるの?
ここで、「なる」。「ぜったいに、お客さんは幸せになる。コロナ禍、ハッピーになる」と断言できる、独断できるかどうか。こちらの方が、重要なのです。その「思い」を、一緒につくりあげていくことが、実は、わたくしども商品リニューアルの目指している世界です。
洋菓子メーカーにいる頃、正直に申し上げれば、自社商品を愛していなかったかもしれません。利益最大化を果たす工場のラインで作られる大量生産のスイーツによりも、パティシエが一点一点手作りしたスイーツの方が「価値がある」、と思っていました。情報に多く接し、商品プランのために、さまざまなスイーツを見て歩き、食べて歩くがゆえに、隣の芝生が青く見えてしまうのです。自社と他社商品を比較し、かえって思考が狭くなってゆくのです。気づかぬうちに、自社商品の「欠点」ばかりが見える眼と心になっていました。
ところが社内には、自社商品が大好きな「マニア」が必ずいます。店舗運営の仲間、現場の店長たちです。300店舗の中で、同じスイーツを売りながら、ダントツの店があります。店舗の新旧、立地など、商売の条件が決して良くない店でも、お客さんがついて良く売れるお店があります。現場である「店」をまわれば、一瞬にしてわかります。そういう店の店長、または2番さん(副リーダー)、パート・アルバイトのなかに、強烈に商品愛の強い人がいます。それが店長であれば、最高の店になります。
同じショートケーキ、シュークリームを売っていても、お店が「大好き」のエネルギーで輝いています。声、笑顔、目の輝き、商品の扱い方、提供の仕方、指先の動き、トーク、ツールの置き方、商品案内の仕方といった、ディスプレイの配置、店舗の清掃、そうしたアクションの一つ一つが清潔で感じがいいのです。店全体がわくわくしているのです。お客様にとっては「行って楽しい店」「行くと元気になる店」なのです。
プランナーや商品開発に関わるパティシエは、知りすぎるあまり、頭で考えて企画します。年がら年中他社商品と比較し、比較されることで考え方が減点法です。そもそもが、自社スイーツが好きだったり、洋菓子が好きで入ってきた世界なのに、「嫌いになっている」という皮肉。何ともったいないことでしょうか! 大手企業であろうと、中小企業であろうと、個人事業であろうと、「好き」にかなわない。強く実感しました。
商品リニューアルは、商品を変えずに利益を生み出していく仕組みです。仕組みには、再現できる「工程」があります。最初の工程では既存商品、サービスに徹底的に向き合ってゆきます。お客様の視点から、商品サービスの「魅力」を見つめ直します。その工程を踏むことによって、商品サービスへと意識が全集中します。そして商品サービスを通して、あらためて「自社」を見直します。
自社商品サービスを素直に「大好き」と言えることは、とても幸せなことです。「大好き」の循環が商品リニューアルの仕組みをさらに強靭にします。気が狂うほどの、“バカ”と刺されるほど、暑くるしいまでの「商品愛」こそが、商品リニューアルによって、利益を生み出す馬力となります。
そして、わたくしどもの商品リニューアルの根本精神は、商品リニューアルを通して「強く深く自社商品を好きになる」ことであり「自社を好きになる」ことつながるのです。商品リニューアルに取り組むことで得られることは、商品を通して「強いチーム、強い会社をつくる」ことなのです。
二日間のイベントを終えた今、ご相談にいらした経営者、そして同志であるコンサルタント諸氏から気づきを賜りました。それは、わたくしどもコンサルタントも、経営者として同じだということです。わたくしたちコンサルタントもまた、コンサルティング熱、コンサルティング愛こそが、お客様を次のステージに導くのです。わたくしたちコンサルタントはどんな困難をも圧倒する、強いエネルギーの塊でなければならないのです。
コロナ禍、商品サービスのリニューアルは追い風です。新しい視点を持つことで、今ある商品は変えずに、新しい事業、新しい生活文化、新しいマーケットを創り出すことができます。数年後のルネッサンスから逆算すれば、まさに今「商品リニューアル」の時代です。“コロナ禍からのリボーン”を合言葉に、わたくしども株式会社りぼんコンサルティングも努力を重ねてまいります。
最後に「コンサルEXPO2020」にご参加いただきましてありがとうございました。1年後も出展したいと考えております。その時には「商品を変えずに2倍売る/商品リニューアル大戦略(仮)」という本をお届けできるよう、本の執筆に挑戦しようと決めました。暗いニュースばかりにスポットの当たる時代です。が、どんな時代も、人間がいる限り、商品やサービスが生まれリニューアルし再起するという循環は不滅です。今ある商品サービスを知ること、そして愛することが突破口なのです。一緒に、進んでまいりましょう!
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