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ウィズコロナ時代、地域情報密着社会における「情報発信」を考える―まともな情報を正しく発信していますか?―  

SPECIAL

地方メディアの高度有効活用コンサルタント

株式会社メディアコネクション

代表取締役 

広告分野における地方メディアの高度有効活用を専門とするコンサルタント。東京在住中のマーケティングビジネス経営の経験と地方企業への経営革新支援ノウハウの融合させた、独自の「儲かるための広告戦略」を開発。自らも成功実践事例として、地方メディアを舞台に展開。

マスクをしているとしゃべりにくい(;´д`)

私はかねてより、過度な地域密着型の「地縁血縁義理人情顔パスビジネスモデル」から早く脱出して、現代的な「情報発信(アウトプット)」のできる企業へとステージアップしてください、とお勧めしています。

しかしながら、こんな私の主張に対して反発の多いことも確かです。

特に地方においては

「あんたはそういうけど「地縁血縁モデル」のどこが悪いんだ!日本のビジネス社会は大なり小なりそれで成り立ってきたんだ!」

といった意見をお持ちの経営者の方もまだ多くいらっしゃいます。

確かにこれまで営業費用、販売促進費用のかからない「地縁血縁義理人情顔パスビジネスモデル」は、最強のビジネスモデルでした。

なんといってもそういった部門に余計なエネルギーや費用を投入しないで済むわけですから、このビジネスモデルで、中小企業を含む日本のビジネス社会、特に地方のそれは大いに繁栄したのです。しかし、時代は大きく変革しました。

自分の取り組んでいるビジネスについて、商材の質をよりレベルアップし、それをしっかりと情報発信することで顧客を獲得しなければ、事業が成り立たない時代になりました。

と、ここまではいつものように私の持論を述べてきましたが、最近「情報の伝達」という1点において、際立った地方の特徴といったことに気がつきました。

大事なことなので、その点について少し詳しく述べてみたいと思います。

これまで、特に地方の場合、必要なビジネス情報がちゃんと発信されていないことが大きな問題でした。地縁血縁でビジネスが成り立っていた時代が終焉を迎え、しっかりとした「情報発信(アウトプット)」を行なわなければ、事業そのものが成り立たない時代に突入したのです。にもかかわらず、地方における企業の情報伝達力は相変わらずプアなままでした。

しかし、そのプアだと思っていた情報伝達能力について、むしろ逆に地方特有の情報伝達におけるスピードが非常に速いケースがある、ということに気がついたのです。

そのことに気づいたのは、このたびの一向に収束の兆しの見えないコロナ禍においてでした。

当初、私の事業所のある地方は、コロナウイルスにおける無風地帯で、このまま事なきを得て収束するのではないか、と思っていました。ところが、近くの地方都市でクラスターが発生し、その火の粉が、私が事業を営んでいる田舎の町にも降りかかったのです。次第に検査体制も整備されたのか、それからはポツポツと感染者が報告されるようになりました。

こうなると狭い地域社会では軽いパニックが起こります。

どういうルートを伝ってのことか私にはわかりませんが、「あそこの家で感染者が出たらしい。」とか「都会から帰省した親族が持ち込んだらしい。」といったうわさが広がるのは、田舎の場合異常に早いのです。

そして、とうとう、「感染者は帰ってくるな!」といった張り紙がされた家まで出たということを聞きました。

こんな行為自体もちろん許されることではありませんが、私が驚いたのはこの地域情報の伝達の速さです。

私から見れば、ビジネス上重要と思われるタイプの情報は、発信する側も受け取る側もそれが必要なものであるにもかかわらず、いつもグズグズとしていてほとんど成立していないのに、今回のような「ネガティブ情報」の伝達は異常に速いのです。

そして、それらの情報は伝達されるのみではなく、これがさらにネガティブな噂を呼び、上記のように張り紙をするような排斥行為にまで及んだりするのです。

これはまさに負の意味での「地域情報密着社会」ともいえるものです。

こういった現象を見ていると、皮肉なことではありますが、地方の情報伝達能力が決して低いわけではない、ということに気づかされます。

ただ問題なのは、その対象のほとんどが今回のような「ネガティブ情報」であり、しかも極めて正確さに欠けるものであるということです。

そういった要因の延長線上にある上記のような排斥行為など言語道断と言っていいでしょう。しかし、この問題に関する感想を詳しく述べることが今回の主旨ではありません。

この問題はこれくらいにして、ここから何を学ぶか、ということです。

それはこうやって見てきて、なまじ情報伝達能力があるのであれば、今回のような「ネガティブ情報」ではなく、もっと前向きな「ポジティブ情報」を発信し、それを受信したらどうか、と言いたいのです。

とはいえ、「ネガティブ情報」を発信することが得意だった人が、ポジティブな情報を発信することも得意とは限りません。むしろ苦手と言っていいでしょう。

ただ、ここで申し上げたいのは「情報は伝わる」という事実です。

別に伝わらなくてもいいような「ネガティブ情報」はよく伝わるのに、共有したいような「ポジティブ情報」が伝わらないのではあまりにも残念です。

できれば経営者は、真っ当でポジティブな情報を正しく発信しましょう、と申し上げたいのです。

日本社会において、他人の不幸を喜んだり、誰かを見下すために使う「ネガティブ情報」の方が好まれるというか、受けがいいという傾向があるのはなんとなくわかりますが、ビジネスに関する情報はその真逆を行くべきです。

そしてそれが、きちんと伝達されたとき、自分の事業にとってプラスの作用が起こることを実感できるはずです。

「情報発信(アウトプット)」はあくまでも、前向きにポジティブに世のため人のためにプラスになるような内容を心がけるべきなのです。

そうすれば伝達された情報をベースに、発信した事業に対するロイヤリティが形成されていくことでしょう。「ネガティブ情報」のような短期的なインパクトはありませんが、時間をかけていい関係が築けるはずです。

どちらかといえば、「ネガティブ情報」の方が人々の関心をひきやすい現代社会において、この試みを成功させるのは、そう簡単なことではありません。

しかし、「情報は伝わるのだ」ということは確認できましたので、これからは、さらに「ポジティブ情報」を発信する努力を続けてみたらどうでしょうか。

それは今取り組んでいる事業にとって、中長期的な展望において間違いなくプラスの作用をもたらすはずです。

 

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