SDGsで社長が取り組むべき最大の課題とは
「西田先生、新人採用に関してウチの会社ではまだ大学生のインターンを受け入れたことがないんです。どうぞよろしくお願いします。」セミナーに2回連続参加してくれて、このほど当社にコンサルティングを発注してくれた会社の社長から聞いた一言です。こちらの会社をA社としましょう。
A社は、業界では知らない人がいないくらいに元気の良さで知られた中堅企業なのですが、意外にもまだ学生インターンの受入経験がないというお話には私の方がちょっとビックリしてしまいました。でもそれを成功させ、人財戦略を充実させるためにこそSDGsを活用したい、という明確な意図をお持ちだということで、逆に安心させられた部分もあります。それだけにコンサルタントとしてはぜひとも成功させたいと、今からファイトが湧いています。
会社が100社あったらそこには100人の社長がいます。100人の社長が取り組むべき最優先の課題が「売り上げの確保」であることは、古今東西議論の余地がありません。でも果たしてそれは常に最大の課題でしょうか?
A社の元気の源は他社の追随を許さないユニークな技術と、その技術を最大限に生かしたマーケットでの仕組みづくりにあります。いわゆる「他社にマネのできない経営」をすでに実現してしまっている部分があります。
私は同様に、ここ10年で業容を急拡大させた会社のサポートも並行して行っているのですが、こちらの会社(B社とします)では、急成長による歪みや軋みが組織のあちこちに出てきています。若手の定着率が低いこと、社員の満足度が必ずしも高くないこと、エンゲージメントやモチベーションに大きなバラツキがみられることなど・・。B社も商機はしっかりとつかんでおり、A社と同じく安定的に相応の収益を生み出しています。ただB社の社長はA社の社長と違い、まだSDGsの活用と人財戦略の実施について心底納得しているわけではないという違いがあります。
財務情報や市況を見れば、多少のばらつきはあるにせよ、今から5年、10年先に、A社もB社も相応の成長を遂げていることは疑いようがありません。でも、やや不謹慎な例えで恐縮ですが、時が過ぎてこの世を去るときに、昇天する二人の社長が目にする景色にどんな違いがあるかと考えてみると、そこに本当の価値の差が見えてくるような気がするのです。
いずれの会社も盛大な社葬が行われると思います。B社の社葬は型通りに終わり、終了後は家族に委ねられることでしょう。でもA社は、本当に社長を慕う社員達で溢れかえる葬儀になるのではないかと思うのです。
私が今からA社に対して行う人財戦略コンサルティングが目指すのは、幸せな社員を生む仕組みづくりです。そのための指標がSDGsであり、それを通じて社員一人一人が社会に対する貢献の手応えを感じられるようにするお手伝い、とも言えるでしょう。
生涯に何億稼いだかで評価される社長は、経営者として最優先の課題を立派に果たしたことになります。でもそれ以上に、生涯に幸せな社員を何人生み出したかで評価される社長は、経営者として最大の課題を果たしたことになります。そしてそれこそが、社長本人の人生を幸せなものにする最大の要因になるのです。
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