社員の能力と数に差の無い企業が5年後に大きな実力差が付く原因
「先生、ここまで できています。」
ある企業の担当社員が、現在進めている開発の進捗状況を整理した報告書を見せてくれました。
「まだまだですが、この調子でさらに進めていきたいと思います。」
進捗状況を詳しく説明した最後に、こう宣言されました。
この方の説明内容、説明態度などから、非常にまじめに開発に取り組んでいることがヒシヒシと伝わってきました。そのまじめさには、本当に感心させられました。ところが・・・
内容を聞いた率直な感想は「これは、まずい。」でした。このままでは、この方の努力が報われなくなる、そう直感したのです。そのため、この方にはそう感じた理由を一つ一つお伝えして軌道修正を促しました。この方は、衝撃を受けながらも何とか納得し、軌道修正を始めました。まだ、間に合うタイミングだったのは、不幸中の幸いでした。
この例のように、ご支援を始める前に、各企業が過去の取り組みの結果や、現在の取り組みの状況を見せてくれることがあるのですが、そのときに、「よくこれだけのことをやったな」と、その努力と能力に強く感心させられると同時に、「なんと、もったいない」と感じることがあります。
その理由を一言で言うと、「力の入れ所を間違っている」というものです。
間違った力の入れ方をしている企業は、折角、高い能力を持つ社員が多数いるのに、力の無駄や分散が起こって多くの損をしています。その結果、同じような社員と社員数の企業だったのに、3年、5年と続けている内に、業績に大きな差が開いてしまう結果になっていることが少なくありません。
この社員が力の入れ所を間違えるという問題。別の言い方をすると、社員が何事にも全力で取り組むことの問題ですが、開発においては、大きく次の二つの弊害をもたらします。
一つ目は、社員が疲弊してしまうことです。力を入れなくても良い部分にも全力で取り組んでしまった結果、苦労ばかりしてその割に成果はでずに疲弊してしまい、本来、力を入れて真っ先にやるべきことができなくなってしまうことです。こうなってしまうと、立て直すのが大変になります。
そして、もう一つ見逃せない弊害があります。それは、開発において顕著に表れる弊害です。そこには、開発には、肩の力を抜いて気楽に考えるべき要素がある、という事実があります。
この力を抜いて気楽にやるべき部分というのが、開発においては重要だったりします。肩に力が入っていると上手くいかない部分があるのです。開発が上手く行かなくなる企業の中でかなりの割合で、必死にやるべき部分と、この肩の力を抜いてやるべき部分の区別ができていないために、何事にも全力で取り組んでしまい、上手くいかないということが起こっています。
ここを間違えないために、よくお伝えしているのが、「手抜きのススメ」です。
誤解しないで欲しいのですが、ここで言う手抜きは、よく使われる「なまけ」の意味ではありません。語源である囲碁における本来の意味の「手抜き」です。
全てに全力を入れるのでは無く、全体の局面を見て最も重要な所に力を入れ、そうでない所では、手を抜くのです。そうすることで、心の中に余裕を持ち、その余裕の中からさらに良い手を生んでいくのです。
開発において、手抜きが上手な企業と、何事にも全力で取り組む企業とでは、5年後に大きな差となって表れます。
御社は、力を入れるべき部分と、入れるべきではない部分、そして、肩の力を抜いて取り組むべき部分、これら3つの要素をきちんと区別できていますか?
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