リーダーに必要な3つのつなげる力
今更言うまでもないのですが、「イノベーションは新結合」です。
ここのところベンチャー支援をしている団体のオンラインセミナーを視聴することが多く、ほぼ必ず出てくるのが古典的なこの言葉。この手の話に詳しい方には釈迦に説法ですが、新事業、新商品、新サービス、新しいアイデアはゼロから生まれるのではない、既存の何かの組み合わせ、何かと何かをつなげることで生まれる、というお話です。
しかも結合させる、組み合わせるものは、よく似た物同士よりも、かけ離れたもの同士のほうがいいと言います。
携帯電話とPCを組み合わせてスマホが生まれるような人類史を塗り替えるイノベーションから、スリッパとモップを組みあわせて、歩きながら掃除ができる、ちょっと笑えるシロモノまで。誰かの頭の中で何かと何かが組み合わされ、電光石火のごとく、新しいアイデアが生まれてきます。
こう考えると、次の事業を考える社長やリーダーに必要な1つ目のつなげる力、それは異質なものをつなげて新しいアイデアを生み出す力と言えます。
組織の多様性とイノベーションの関係を調べた研究では、多様性が高い組織ほど、新しいアイデアが出てくる頻度が高まるという結果が示されています。ただし出てくるアイデアには、使えるアイデアばかりでなく、全く使い物にならない駄案も多数含まれます。
ポイントは駄案も許容すること。千に一つのものになるアイデアを見つけるために、残りの99%を超えるばかばかしさにも付き合い、さらに輪をかけて妄想を重ねるほどの懐の深さと遊び心が必要、なのです。
多様性がイノベーションに結びつきやすい理由は、異質のもの同士が組み合わされるからでしょう。男性が主流だった家電製品の開発に女性の視点を反映したり、日本式の経営に外国人の視点を反映したりするのも、これまでの常識の延長線上にはない、目からウロコの成果を生むためです。
さて、異質のもの同士が同じ場を共有し、アイデアを生み出そうとするのであれば、前提を共有する必要があります。異質であればあるほど、各自が持つバックグラウンドや考え方が異なるので、その場にふさわしい合意事項をあらかじめ定めておかないと、場自体が成立しにくくなります。
この点から、社長やリーダーに必要な2つ目のつなげる力は、多様な人に、その場の前提を理解してもらい、ネガティブな反応を起こさせることなく、つなげる力と言えます。
社長やリーダーに必要な3つ目のつなげる力、それは、志をつなげる力です。社長の理念とメンバーの想いの共通項を見出し、つなげるストーリーを生み出す力です。
意識しているかどうかは別として、誰でも自分の物語を持っています。社員が持つ物語とリーダーの、そして組織の物語をつなげる。これができると、一人一人が会社のなかで自分の物語を作っていくことができるはずです。
SDGsの8番目には「働きがいも経済成長も」というゴールが示されています。経済成長を追い求めるために、働き手に無理を強いるのではなく、働き手が喜びを感じながら、会社も、経済も成長していくという理想を実現しようというものです。
私は、長年、幸福感と業績が両立する企業について研究をしてきました。この研究からわかったのは、業績とやりがいの二兎を追うのであれば、社長やリーダーには3つのつなげる力が必要ということです。
- かけ離れたものをつなげて新しいものを生み出す力
- 異なる背景を持つ多様な人をつなげ、場を豊かにする力
- 社長やリーダーと社員の志をつなげ、固有のストーリーを生み出す力
弊社では「マインドシェアNo.1ブランド」構築のプログラムを通して、社長やリーダーの3つのつなげる力をバックアップします。ぜひ一緒に考えましょう。
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