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通りすがりの『住宅団地』にて(2)

SPECIAL

住宅・工務店コンサルタント

株式会社 家づくりの玉手箱

代表取締役 

住宅・工務店コンサルタント 。規格住宅を高付加価値化させ、選ばれる工務店となる独自の展開手法「シンボルハウス戦略」を指導する第一人者。
営業マンとして自分が欲しいと思わない住まいをお客様にお勧めする仕事に疑問を持ち、ある工務店でどうしても家を建てたくて転職、鹿児島へ 。15年間で173棟の住まいづくりをすまい手目線で担当。そこから編み出された、選ばれる工務店となる具体戦略を、悩める中小住宅会社ごとに実務指導中。

出先で造成現場や新築現場に出会うと、ついつい気になってしばし立ち止まってしまいます。

もし、お客様に「どれがいいかアドバイスして欲しい」と言われたら、どこやろう? 自分ならどの土地押しでその理由はなぜか?

実際には頼まれてはいないのですが、とりあえず方針を出すのがどうも習慣になってしまっているようです。

 

↑こういう看板を見つけると、つい立ち止まってしまいます(どれか選ばないといけないとしたら…どれやろう?と)

最近、出先で出会って気になったケースです。40区画規模の新規造成の住宅団地です。
この規模になりますと、数社で分担して条件付き宅地として販売することが多くなります。
この団地では5社で分担しています。黄緑色の区画が事業主の分担区画で、このように端っこの変形地などは事業主が担当するケースが多いです。事業主は隣接する地主さんとの関係性もあるでしょうし、参画してもらうのは住宅メーカーさんが多いので規格プランが当てはめやすい整形地を好まれる理由もあるのだと思います。

 

↑思い思いの住宅が建ち並んでいきます(現地を案内されると開放的な印象を持ってしまうのですが…)

 

条件付き宅地として販売する場合販売坪単価が若干お安くなっていて5社で分担していますので、ハイペースで契約が進みどんどん着工していきます。出来るだけ更地の状態で見込客を案内して決めてしまわないと、もたもたしていると売りにくくなることもしばしばあります。場所によっては悪材料も顕在化して来るので、ポジティブな想像をしてもらいやすい更地段階での完売が理想です。

 

↑少し引いて見てみると、不可解なコンクリートブロック積みが視野に入ってきます

 

この団地では周囲に隣接している広い残地があって、”管理地” の看板が立ててあります。
どうしても現地に行くと販売されている土地やそこに建ちつつある建物に目がいっていましますが、引いて見てみると気づくこともあります。
ここでは、鋭角を描いて積まれているコンクリートブロックが気になりました。
あらためて区画案内看板を見てみると、若干あやしい雰囲気がします。

 

↑現況はこのような感じなのですが…

 

 

ここからは想像の話ではありますが ”分譲地あるある” といったものです。
往来の多いメイン道路などアクセスしてくる方向や、目立って見える方向は出来るだけ最後に建物が立ち並ぶような順番で分譲するのは、販売サイドとしては言わずと知れた ”鉄則” であります。

 

↑↓もう一度区画案内図を見てみるとココが販売済宅地に(現況からはそのようには見えません)

 

 

このブロックで囲まれた場所は区画案内図では販売済み宅地になっています。
また、ブロックの向こうの草が生えている広い残地は現在の分譲が完了した後に ”料理する” 最終販売区画かもしれません。

 

↑近い将来、このように道路が入って…

 

写真に写っている建物の多くは事業主ではなく、参画してもらっている住宅メーカーの分担の土地でモデルハウスも建っています。ここは事業主として配慮して、この住宅メーカーさんが晴れて完売されてからこの残地を造成・販売するということも大いに考えられます。
そうなると、現在ある西側の開放感はほぼ全滅することになります。

 

↑こんなふうに区画割りをして、販売されるかもしれません

 

そもそも、この団地は東西方向から出入りする宅地がほとんどなのに南北に余裕のない区画割が多いので冬場の日射の取得条件はかなり厳しそうです。平家プランの南隣にがっつり2階建てが建っていたりして、既に気の毒な状況になっています。新しく造られた街なのに残念なことですが、販売側のリスクの最小化と目先の回収を優先してしまうと何度やってもこのような考え方になります。

といったことを頼まれてもいないのに立ち止まって想像してしまうのですが、こうして仮説を立てるとまたの機会に通りがかってその後の結末を見たくなってしまうのです。
最近では少しタイムラグはありますがGoogleの画像がアップデートされて、現場に行けなくてもその後が確かめられたりするので便利になりました。

 

あなたの会社では、お客様に「土地を見て欲しい!選んで欲しい!」と依頼されることが多いですか?そのとき、想像力を総動員してお施主様の将来にわたる生活価値を最大化する努力をされていますか?

 

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