センスの身に着け方
「この人はセンスがあるなあ」と思ったことはありますか? おそらく大半の人はその経験があるのではないでしょうか。。例えば、洋服のコーディネート、飲食店の選び方、絵画、話し方や言葉の選び方、スポーツ、ゲーム、果ては会社経営、政治にいたるまで、あらゆることで「センス」という言葉が頻繁に使われ、誰もが「それ」を感じています。
この「センス」、私は非常に大事なものだと考えています。特にコンサルタントとしてさまざまな会社に関わっていると、経営者が持つセンスによって、会社の明暗が分かれる場面に多く遭遇します。新規事業の展開や事業を休止するタイミング、人の採用や配置、給与の額など、あらゆる経営判断でセンスが問われます。
無論、センスなどではなく、緻密なシミュレーションの結果、その打ち手しかないということもあります。しかしその場合も、「どのデータに重きを置くか」「どのタイミングで実行するか」「誰を使うか」など、いくらデータが積み上がっていても、また周囲からどんなにアドバイスがあったとしても、結局は無数にある選択肢から経営者が「センス」で決める他ないのです。
「経営理念に沿って決めればいいじゃないか」と言う声も出てきそうですが、ことはそう単純ではありません。そもそも理念に沿わない選択肢が最初から候補に挙がるでしょうか。さらに、基本的に選択肢は、どちらを選んでも成果が出そうだが、あちらを立てればこちらが立たずのトレードオフという場合が大半です。だからこそセンスが必要なのです。
さて、センスの辞書的な意味は「物事の微妙な感じを悟る心の動き。微妙な感覚」となります。これに全く異論はありませんが、何かもうちょっとわかりやすく言いかえれないか。そう考えたときに出てきたのは「選ぶ力」です。
つまり、数多ある選択肢から、最適なものを選ぶ能力。私はそれがセンスの本質だと考えます。洋服、絵画、スポーツ、ゲーム… そして経営。すべてに共通するのは選ぶ力です。
ここで一つ疑問が浮かびます。「センス」が「選ぶ力」ということはわかった。じゃあ「選ぶ力」はどうしたら身に着くのか。まず、選ぶ力を身に着けるには「全体像が見えていること」が絶対条件です。つまり、今見えている部分だけではなく、全体を俯瞰して見ることが重要なのです。洋服も絵画もスポーツもゲームも、全体が見えていることが成果につながる、つまりセンスを感じると思いませんか。
私の経験上、センスがない人に共通するのは、「圧倒的に視野が狭い」ことです。視野が狭いことで、全体像はおろか、選択肢も少なくなります。考えも浅くなり、当然成果も出るわけがありません。
センスを身に着ける一番おすすめの方法は、センスがある人とともに行動することです。センスは言語化が難しいため、基本的に盗むしかありません。冒頭の「この人はセンスがあるなあ」と感じた時、その瞬間を大切にし、臆せずにその人とつながるようにしましょう。言わば「弟子入り」することがセンスを身に着ける一番の近道なのです。
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