社長が自社のためにできる1番大切なこと
わたくしは確信しています。時代がどのように変化しても、中小企業が生き抜いてゆくためには、ひたすら己の情熱に頼る以外方法はないと。「いい商品サービスをつくる。だからぜひ試してみてください」。この一心に賭けていく。情熱こそが生命線だと信じています。
「100年に一度の〇〇」。コロナ禍だけでなく、リーマンショックや自然災害など、事あるごとに現れては消える不思議な言葉です。9月に入って再びこの言葉を目する機会が増えています。一般的には、秋以降の経済不安を煽る情報が増えています。
ですが、わたくしは真逆に感じています。むしろ、いい兆しを感じるばかりです。新しい感覚、感じ方、楽しみ方、暮らし方・・・そういったものが小さな予兆ではありますが芽吹き始めています。
このコロナ禍、わたくしどもでは事業継承した若手経営者とタグを組み、商品リニューアルに取り組んでいます。若手経営者は、少子高齢化と人口減で日本が退化していく環境を背景に、このコロナ禍中、新しいお客様を創造するためのリニューアルに挑戦しています。
第三者である弊社コンサルタントがチームに加わることで、まずは既存の商品サービス、既存の技術をしっかりと見直してゆきます。この時、ぜったいに忘れてはならない、いくつかのポイントがあります。中でも重要なポイントが、「目」です。
どんな目で自社商品サービスを見るか。いかなる目で、自社商品サービスをとらえるか。9割の経営者が間違えます。自分の「目」で、社長自身の目で自社の特長を見てしまいます。
この厳しい外部環境下でも、売上を伸ばしている会社がいくつかあります。不思議なことに、そうした企業のトップには共通した考え方があります。コロナ禍で巣ごもり生活がはじまってすぐに、「新しいものをつくって出すことは違うのではないか」とコミットし「自社に眠っている材料をリニューアルし、新たな価値を感じてもらえる商品をつくる」という行動を起こしたことです。
生活者は巣ごもりの中、「新しいものを出しては売る、売れなかったらセールをする、それでも売れないなら捨てる」というサイクルに疑問を感じ始めています。「使い捨てより再生を」「消費することより循環を」「既製よりも手作りを」といった言葉と行動が目につきます。
不況による節約生活、廃プラなど地球環境保護などの要素が背景に、消費させることで利益をあげていた企業にとっては不都合な価値観の変化です。
が、企業都合とは関係なしに生活者は暮らしの中で新しい楽しみ方や喜びを発見し、新しい人生をつくりだそうとしています。前出の経営者もコンサルティング当初は「自社の弱みばかりが浮かんできて、強みがまったく思い浮かびません・・・コザキ先生、なんとかしてください」と不安を感じておられました。しかし、顔つきが変わりはじめました。それは生活者の目を意識したことで「今のお客様が“うれしい”と感じる魅力が、実はあるのかもしれない」。自社の潜在的な可能性に気づき始めたからです。この気づきこそが、社長の情熱が起爆する導火線となるのです。
商品リニューアルに関する誤解の多くが、ネーミングやデザインの改変だと思っていることです。ネーミングやデザインのリニューアルは、非常に重要ではありますが、これも仕組みの中で機能するもの。根底にある考え方がなければ、生活者にはぜったいに伝わりません。伝わらなければ、その商品サービスはお客様にとって「無い」に等しいのです。
ヒット商品は、土台づくりが8割です。土台づくりを絶対に省略してはなりません。土台をつくりながら、経営者が独自の人間像を強烈に放つようになった時、独自のビジネスが生まれます。おもしろいように変わっていきます。これぞ、商品リニューアルの本質です。商品づくりは人間づくり、そう実感させるプロセスが必ず必要になります。そうでなければ、伝わらないのです。
今こそ、商品サービスという自社の屋台骨をしっかりと組み立てましょう。わたくしたち経営者一人一人が「これでいくんだ!」そう高らかに伝えたくなる商品サービスの基盤をつくりあげましょう。炎が立ちのぼるが如くたぎらせる商品サービスへの情熱、自社への情熱を支える具体的な実践を積み重ねる。この土台構築をしっかりと成してゆくことで、必ず道はひらけます。
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