粗利率が上がっても、経営悪化する理由
当社は、同族会社専門の財務コンサルティング機関なので、ありとあらゆる会社経営にまつわるお金に関するご相談をお受けします。そんな中で多くの社長が間違った常識を信じてしまい、自ら経営を苦しくしてしまっている…そんな場面によく遭遇します。
例えば、多くの社長はこのようにカンチガイしています。
「売上が増えれば、潰れない会社になるはず…」
「人を育てて組織づくりをすれば、会社は潰れない…」
「税金を払うぐらいだったら、車や船を買って節税しないと…」
「お金は借りれる時に、借りれるだけ借りておくのが良い…」
「売上と預金通帳さえ見ておけば、資金繰りは平気…」
当の社長本人は「大丈夫」と思っているのですが、実際に「財務」を知っている社長からしてみれば、キケン極まりない考え方であり、大変怖い状態です。
本当の意味での「社長の財務」を習得した社長さん方は、過去の自分を振り返ってよくこのようにおっしゃいます。
「1年前の自分は、まさに裸の王様でした…」
「財務に出会っていなければ、今頃、会社を潰していました…」
「こんなに大切なことだったなんて、やっと気づきました…」
真に社長が行うべき財務の実務を習得した社長さん方は、「経営判断の基軸」がしっかりと根付きます。その結果、良い意味で「世の中の見え方」が変わってきます。
今のコロナ禍にあっても、本当の意味で強い会社に変革しているクライアント企業も多数いらっしゃいます。それぐらいに「財務」のチカラというのは、ほんとうに強いのです。
その上で、当社では、良く「ゴールから逆算して考えましょう!」ということをお伝えしています。それは、「ゴール」から逆算して、数字で具体的に思考することが不可欠です。
ここでいう数字とは、売上や粗利だけの話ではありません。「ちゃんとお金が増えていくか?」「ちゃんと利益が増えるか?」という、「キャッシュリッチで儲かって潰れない会社」になるための着眼点で、数字を逆算して、組み立てていく…という意味合いです。
「数字に強い」のと「財務が分かる」のは、別の次元の話です。
「粗利率を上げる」こと自体は、決して悪いことではありません。
しかし、気を付けなければならないのは、「粗利率」が上がっても、お金が増えて、経営が良くなるわけではないという事実です。
当社では、これまでに多くの社長さんと関わってきましたが、ここは、財務を知らない社長ほど誤解しているポイントです。
あくまでも、「粗利率」は経営改善(ケイエイカイゼン)のためのひとつの「手段」であって、最終的な「目的」ではありません。
しかし、ここで社長が本当に手に入れたい「目的」は、「会社のお金のことで心配したくない…」「キャッシュリッチの会社にしたい…」という「お金」の問題のはずです。
つまり、真に「お金」の問題を解決したいと思うなら、社長自らが「本当の意味でお金が残る構造」を知り、「財務」の視点から、あらゆる数字を逆算して考える財務思考が不可欠なのです。
どんなに一生懸命頑張ったとしても、そもそもの「目的」と「手段」を取り違えていれば、経営は、決して良くなることはありません。
むしろ、状況は悪くなる一方であるという事実に、社長は、早く気付かなければならないのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
あなたは、社長として、どんな未来をつくりたいですか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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