アフターコロナの情報発信はビジュアルで勝負―「見た目」が効く業種は積極的にチャレンジを―
アフターコロナにおいて「情報発信(アウトプット)」が戦略的にますます重要になるというのはこれまで述べてきた通りです。その重要性とはどのようなものでしょうか。今回は具体的なサンプルを提示して解説したいと思います。
私が、専門である「情報発信(アウトプット)」に関するセミナーを開催する際に、その必要性や重要性を解説するコンテンツとしては、次のような流れになります。
1、変化してきたビジネスの時代背景
2、何故「情報発信(アウトプット)」が必要なのか
3、何を「情報発信(アウトプット)」すればいいのか
4、どう「情報発信(アウトプット)」するのか
5、「情報発信(アウトプット)」を実践した結果どうなるのか
大雑把に言いますと、上記のような流れで私の専門分野について、参加された皆さんに説明しているのです。それぞれに大事な項目なのですが、この中で最も具体的に皆さんが知りたいのは、3の「何を「情報発信(アウトプット)」すればいいのか」ということになるのではないでしょうか。
本当はすべてのコンテンツをきちんと説明した上で、お教えしたいのですが、「何を・・」という点に関して、少し具体的なイメージを持っていただくためにサンプルを示すとすれば以下のようなことになります。
それはまず
・ビジュアル(見た目)が効くタイプの業種なのか
・ビジュアルでは勝負しにくいタイプの業種なのか
の2通りに分かれます。
「ビジュアル(見た目)」が効くタイプの業種というのは、現実の「物(もの)」を取り扱っている業種です。
製造業でも流通業でも或いは建築、土木、農業、畜産でも、その取り扱っている「物(もの)」に触ることができますし、目で見ることもできます。これらは、すべてその「ビジュアル(見た目)」が効くタイプの業種に入ります。
一方、「ビジュアル(見た目」)では、あまり効き目のないタイプの業種もあります。例えば、私のようなノウハウ専門業、或いは税務会計、保険、金融など、サービス業の範疇に入る業種は、物理的に存在する「物(もの)」を取り扱っているわけではないので、あまりビジュアル化できません。
さて、「ビジュアル(見た目)」が効くタイプの業種ですが、社長がこれらの業種に所属する場合、「情報発信(アウトプット)」については、あれこれとやれることがたくさんあります。
なんといっても「見せる」ことで効果を発揮するわけですから、ここに大いに注力すべきなのはいうまでもありません。
ただ、私が申し上げている「情報発信(アウトプット)」として戦略的に取り組む場合、ちょっとしたコツがあります。
そのコツを説明するために、私の顧客である工務店さんをサンプルに解説をしてみたいと思います。この会社の社長は、結構こだわりの強い人で、地方にしてはセンスのいいお洒落な住宅を作ることが特徴となっています。
例えばこの工務店さんが1軒住宅を完成させたとします。施主さんに許可を得て、完成させた住宅について、いろいろとこだわりの部分を皆さんに紹介したいと考えていたとします。そうすると、住宅という「物(もの)」は、無限と言っていいくらい「情報発信(アウトプット)」のネタの宝庫になるのです。
全体の外観はもちろんのこと、間取りや水回り、床、壁、屋根瓦の素材や玄関ドアなどの建具、シンク、洗面台などの備品、カランやドアの取っ手などの小物、どれをとっても「ビジュアル(見た目)」の宝庫といってもいいでしょう。これらの画像を簡単な解説付きで発信すれば、それは立派に戦略的な「情報発信(アウトプット)」になるのです。
このとき、例えタイル1枚でもこだわった部分があれば、軽くでいいので、それを選んだ理由など、社長がこだわった背景から解説していただきたいのです。
何故このタイルだったのか、ちょっとした背景の説明があれば、それは立派なショートストーリーになるからです。
「ビジュアル(見た目)」を素材として使って「情報発信(アウトプット)」する場合、短くてもいいので、その背景の文章を添えてもらうと、それはただ画像を載せたものよりも格段に上質な情報になります。
そういったショートストーリー解説付きの画像を情報発信し、これが集積(アーカイブ)されれば、それだけでかなり立派な無形の企業資産ができあがることになるのです。
このアーカイブは、それだけで広告宣伝用材料(いわゆる「宣材」)として機能しますが、その後の営業用データとしても転用することが可能です。
このようにビジュアル中心の「情報発信(アウトプット)」は、発信と同時、つまりリアルタイムにその宣伝効果を発揮するばかりでなく、受注実績として積み上げれば、一種の高付加価値無形企業資産として、その応用価値を発揮することとなります。
そういった戦略的視点で、ビジュアル情報発信を自らのビジネスに位置付けている経営者は、まだ少ないのではないでしょうか。
さて、今回は工務店が家を作った場合、という前提のもとで事例を挙げてみましたが、これが製造業であっても流通業であっても「物(もの)」を取り扱っている限り同じ考え方になります。「物(もの)」はそのまま映像化できますので、その映像に相応しいショートストーリーを必ず添えて「情報発信(アウトプット)」すれば、それは非常に分かりやすくかつ有効な企業のプレゼンテーション資料となるのです。
ここまで書いてきて、すでにお分かりのことと思いますが、私のお勧めする「情報発信(アウトプット)」は、ビジュアルとそれに添えるショートストーリーが一対となって価値を持ちます。
このペアを最強のプレゼンテーションツールに仕立て上げたい、というのが私のお勧めする「情報発信(アウトプット)戦略」なのです。
そうすると「同じようなことを学生やOLが「インスタ映え」を狙ってやっているじゃないか」と思われるかも知れません。
しかし、社長が行なう「情報発信(アウトプット)」が、彼らと決定的に違うのは、そこに「専門性」と「ビジネス」が介在するか、ということになります。
社長の「情報発信(アウトプット)」は、前提としてまず専門性ありき、です。したがって「映える」か否かは、それほど問題ではありません。(もちろん画像のクオリティが鮮明で美しいに越したことはありませんが・・・)別に、きれいで可愛くなくなくても、プロの目線が伝わればそれでいいことになります。そこが、学生やOLなどが気軽に発信しているSNSと決定的に異なるところなのです。
つまり、経営者の行なう「情報発信(アウトプット)」は、何らかの形でビジネスに還元されるための「意味」を持っていなければなりません。
そのためには、ビジュアルとショートストーリーが互いに補完し合い、その「情報発信(アウトプット)」にきちんとした「意味」を持たせなければならないのです。
とはいえ、あまりショートストーリーの方に気持ちが行ってしまうと、書くことが苦になってしまう恐れがありますので、とにかく、マメにビジュアルを上げていく癖をつけることが肝心です。
発信することに慣れてしまえば、そこにショートストーリーを付加して意味を持たしていくのはそう難しい話ではありません。おそらくビジュアルを中心にした「情報発信(アウトプット)」は、その反響や効果が表れるのが、私などサービス業に比べて早いはずです。
「物(もの)」を取り扱っている事業者の方は、その商材に何らかの意味を持たせて「情報発信(アウトプット)」しないのはもったいない、ということになります。
一刻も早くこのことに気付いて、戦略的な「情報発信(アウトプット)」に取り掛かっていただきたいと思います。
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