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組織の成長加速コンサルタント

株式会社グロースサポート

代表取締役 

組織の成長加速を促し、業績躍進を実現させる辣腕コンサルタント。これまで130社以上の企業において、経営者のコンサルティング、経営幹部、経営リーダーの育成に携わる。組織とリーダーの成長段階を知り尽くし、経営者と同じ目線で語ることのできる希有なコンサルタントとして活躍中。

売上げ約50億円の関西にある企業の営業会議に同席させてもらいました。その会議は隔週毎にある夕方4時から6時の定例の営業会議。私の隣に座っているK専務の眼差しは、それはそれは厳しい。

こんな時なので、通常の会議室より一回り大きな会議室。窓を全開にして、密をさけての会議となりました。名古屋から1名、関西エリアから4名と会議室には私もいれて6名。さらに、東京、福岡、宮城の支店からは、リモートでの参加です。

本来は関東管轄の取締役が、司会のはずでしたが、リモート参加のため、急遽、関西のF取締役が代行。毎回持ち回りで始めて間もないはずでしたが、さすがは凄腕営業マン?仕切り上手。

驚いたのは、営業部管掌役員のK専務は、一言も話さない。進行役のF取締役もまたほとんど話さない。F取締役もホワイトボートの板書に集中しています。それ以外の方々はまぁ騒がしい。リモート勢も、会議室メンバーも、白熱教室さながらに意見が飛び出していました。


白熱した議論が続く中、相変わらずK専務は厳しい視線を向けつつ時折メモをとっていました。私の視線に気がついたのか、軽くうなずきながら、口元が少し緩みます。そして、2度ほど会釈のようなうなずきをしてまた議論に聞き入っていました。

K専務の報告で、組織が変わってきたことを聞いていましたが、その報告の内容がが寸分違わず本当のことだということが、この会議の風景でわかりました。


1年ほど前に、Y社長とお会いした時、K専務のことを「やり手なんだが、全部自分でやろうとする」と評されていました。コンサルティングの導入が決まり、最初に専務とお会いした時のメモを見返すとK専務自身の課題として自ら上げたもののがいくつかでてきました。その中から一部抜粋すると、「なかなか人に任せることができない。」(自分はそう思わないが)出来ない部下へのツメが厳しすぎてパワハラになるから止めてくれと言われている」「会議では誰も発言しない」というものが上がっていました。

コンサルティングがはじまって、最初の月にK専務と部下である2名の取締役との営業幹部に同席させてもらいました。そこにあったものは、冒頭の会議とはまるで別物です。60分の会議の間、50分は専務が終始話す。2人の取締役が口を開いたのは、専務から報告を求められたことに答えた時だけでした。最後に、専務が今月の見通しをもう一度確認します。

二人の取締役は、座ったままではありましたが、直立不動の様相で「今月も105%達成見込みです。」「110%やります!」という言葉を大声で宣言し、その後に、散会となりました。

K専務が自信満々に「どうでしたか?」と私に答えを求めた時、私は「改善の余地が何点かあります。次回は、取締役との個別面談の時にも同席させてもらっていいですか?」とお答えしました。

私は敢えて、良い点についてのコメントは一切せずに、改善点のみを指摘しました。
改善点の指摘のみをすることがどのようなことを招くのか、K専務に体験してもらいたかったのです。

案の定、その時のK専務の怪訝そうな顔とその後の数分間の対話でK専務のふて腐れた態度は、今でも覚えています。

このことを後で、K専務に種明かしをしたのですが、K専務はこの時のことをとても良いきっかけだったと、自分の部下の方々によく話すそうです。確かに、このとき得た学びを十二分に部下指導にも発揮されています。


K専務は本当に有能な営業マンかつ、強いリーダーシップを持っていました。おまけに数字にもめっぽう強い。このことはY社長も大絶賛でした。ところが、予算連続達成の裏で組織の弱体化が進んでいました。

K専務は自分のやり方に従わない社員を徹底的に排除する傾向が年々強くなっていったのです。恐らく裏では相当な努力をされて、世の流れを考え、競合分析をされていたのだと思います。

K専務は、時代遅れの成功モデルにしがみつくようなことはなく、逆にY社長も心配するような大胆な戦略変更を繰り返し、時代の変化に合わせて、営業の仕方を変えてきたのです。

Y社長がことのほか心配していたのは、K専務の二人の部下の取締役が、取締役というよりも課長レベルの能力しかないと思っていたことでした。Kさんの進言通り、役職を上げてきたものの、役員にあげる時にはK専務とも何度も話したそうです。

結局、「役員になれば、二人の意識も変わり、成長を促進する上では、プラスに働くはずだ」というKさんの強い意向に押される形で了承してしまったと、反省を口にされていたのでした。

後で聞いたのですが、K専務自身、二人の成長が思わしくないことには危機感を以前から抱いていたそうです。何か良い方法はないものかと、本を読みあさったところで、行き着いたのが、「役職が人を創る」です。

「役職が人を創る」は、時々私も、お会いする経営者の方々から聞く言葉でもあります。が、「役職が人を創る」が成功するためには、一つ重要な前提条件があるのです。

「役職が人を創る」をうまく使うための、前提条件については、また別の機会にお伝えするとして、話を先に進めます。


K専務とF取締役の面談に同席させてもらった後、K専務と面談をさせてもらいました。

「今から申し上げることは、あまり気持ちのよい内容ではないですが、お伝えしてもいいですか?」多少は予想していたようですが、K専務が動揺する様子が目の動きで分かりました。

「一緒にこれから申し上げる課題を乗り越えるために私がここにいます。課題を知らなければ改善のしようがありませんので、申し上げますね。」

「はい、、、もちろんです。遠慮無くお願いします」といって、K専務は視線を外されました。そして、K専務の視線が私の視線上に戻ってきた時、私は口を開きました。


K専務と面談した当初は、コロナのことはもちろん想定していませんでした。あのタイミングでK専務が取り組みを開始したから、このコロナの状況下でも、活発な議論が交わされています。もし、あの体制のまま、コロナ禍に突入していれば今頃は、またK専務節が炸裂し、組織の硬直化はいよいよ進み。誰しもが未体験のコロナ禍で、大きく業績を下げていたかもしれません。

このコロナ禍で、しなかやかに変化対応できない組織は、市場から撤退を余儀なくされていきます。変化対応できる組織は生き残り、それ以外は生き残れない。まさにこれは、生物の進化の過程で何度も起こってきたこと。

文明の歴史、進化の法則という、時間軸を長くとってみると、環境変化への対応の答えはよく分かる。何が正しくて、何が正しくないのか、はっきりと答えはでています。

変化に対する不安が、人や組織を凍り付かせます。その結果、変化の対応が遅れ、早く対応した人達についていけなくなってしますのです。

変化に早く対応するために、リーダーは何をするべきか?実はその方法論では、議論があって、迷いが生じることになります。


確かに非常時のリーダーシップの形については、議論があります。リーダーが、強力なリーダーシップで組織を右に左に自在に動かす。そして、危機を乗り越えるためには、このスタイルこそが最適だというもの。

確かにこのやり方は、一つの選択肢ではあります。が、この非常時の強力なリーダーシップは全ての組織に有効ではありません。ところが、多くの企業は、このやり方に溺れがちです。特にそうしたスタイルを一度は発揮して、成功パターンを持っている創業経営者は、この方式に頼ろうとします。

否、実は、創業経営者の人達は、うすうす気がついている人もいます。強力なリーダーシップで組織を牽引してきたものの、永続的な手法ではありえないこと。

仮にそれができたとしても、中長期の結末は悲惨なものです。カリスマリーダーが去った後の、悲劇的な企業の没落例は中小企業のみならず、大企業の場合においてもも、くらでもあります。


強力なリーダーシップが、機能するには、その前提があります。組織の上から下へ、そして、逆に下から上にも、情報が齟齬無く流れることなしに、強力なリーダーシップは起こりえません。規模が小さなうちは、リーダーが個々にフォローができるので、創業経緯者なら誰もがこのやり方を一度はとるわけです。

しかし、組織が大きくなるにつれ、構造的な問題として、下から情報が上がりにくくなります。まさに、コンサルティングする前の、K専務が主催する会議や部下との面談の形式がその事実を物語っています。

自らの強いリーダーシップが生み出す弊害によって、やがて強いリーダーシップが機能しなくなる。これは組織の発展では必ず、100%起こりますが、多くのリーダーはこのことに気がつかずに組織を壊してしまうのです。


鍵となるのは、個々のリーダーの考える力を強化すること。

こう伝えると、「考える力を強化する」ってなにやら時間がとてつもなくかかりそうだと思う方も少なからずいるでしょう。しかしそれは、やり方を知らない人が、どちらの場合6ヶ月もあれば、個々リーダーの考える力は必ず回復させることができます。これは筋力トレーニングと全く同じです。腕立て伏せをすれば、どんなに年とっても、やる前よりは筋肉が増えます

考える力を超短期間に劇的に回復するトレーニング使えば、それは実現できます。また、これをすることで、組織にとってはもう一つよいことがあります。

それは、下からの情報が上がり始めるのです。まさに冒頭の会議の現場のごとくに。だからこそ、不世出のリーダーに依存することなく、組織が変化に柔軟に対応することできるようになるのです。

もちろん、この変化は私が一人で「変わった!変わった!」と騒ぎ立ててことではありません。まさに、筋肉トレーニングをして腕の力こぶが、前後でまるで違ことをみて、第3者が「おお、ムキムキじゃん!」お感嘆な声をあげるごとく、全く見違えるようになります

それが、冒頭の会議の風景で自ら考える集団は、自ら動く集団になります。もちろんコロナの影響をゼロにならない。でも、環境対応ができずに、不安を抱えながら、ただただ、従来のやり方転換できない競合他社を尻目に、次々と実行、検証を繰り返す組織になるのです。


さて、あなたの会社の場合は如何でしょう。

コロナ騒動の中、会議は活発な議論がされているでしょう。それても、誰か一人の声が会議室で響き渡る、硬直した組織になっていますか?

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