アフターコロナの勘所、社長、他人より早くやんなきゃあ・・・―先んずれば市場を制す、は現代ビジネスの常識―
ビジネスには必ず、黎明期、上昇期、安定期、衰退期といったサイクルがあるものです。
時代をリードするような画期的なビジネスモデルも、黎明期の頃はあまり周りの人に理解されないため、他人より早くそれに取り組んだ先駆者も、軌道に乗せるまで結構苦労した、といった話はよく聞くところです。
ただ、のちのちその大きなビジネスモデルに育っていくような、最初の科学的発明とか、或いはそれを応用した技術開発とか、革新的な応用モデルとかを、一般レベルのビジネスマンである我々が、発見したり開発するというのはちょっと難しい話です。我々はビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズのような傑出した才能の持ち主ではではないからです。
また、そんな彼らが開発した技術やモデルを直ちに取り入れ、仕事に自在に利用していくというのもそう簡単にできることではありません。大抵は、世の中にかなり普及して、安心して安定して使えることが確認されてから、そういった技術やモデルを自分の事業に取り入れているのではないでしょうか。
昔は、今よりも時間の流れが格段にゆっくりしていたために、それで充分間にあっていました。逆に、むしろ、あまりバタバタしないでじっくりと見極めてから、そういった新しい技術や考え方は取り入れた方が経営的には賢いとされていたのです。
さて、現代ビジネスにおいてはどうでしょうか。世の中には「お先走り」や「新しもの好き」と言われる人たちがいるものです。そういう人たちが、飛びついて失敗したり、或いはそこそこうまくいったりしている様子をしっかりと見極めてから取りいれていった方がいいのでしょうか。
結論から先に言いますと、現代経営はそれでは間に合いません。
ビジネスにおける変革のスピードが、昔に比べて格段に速くなっている現在、「他人の動向を見てからじっくり決めよう」などと、のんきなことを言っていたのでは間に合わないのです。
のんびりと他人のまねをしている頃には、画期的な次の技術が登場しており、生産性や効率の良さにおいてまるで勝負にならない、といった現象が普通に起きています。
つまり、現代経営において極めて重要な要素は、その「スピード感」なのです。
他人より早く判断し、先んじて行動を起こさなければ取り残されてしまうのが、現代ビジネスのシビアなところです。
とはいえ、スピード経営にはリスクも伴います。
「先んじて手を打ったのはいいが、読み違えて失敗したらどうするんだ!」という声も聞こえてきそうです。
「読み違え」は、自分に原因があるわけですから、怒ってみたって仕方がないのですが・・・しかし、できることならリスクは抱えたくない、というのが経営者の本音でしょう。
これに対する明確な答えはありません。
「リスク覚悟でやるしかない。」と申し上げるだけです。
多少のリスクは織り込み済みで事業に臨むしかないのです。
というのは「安全に、安全に・・」と、堅実性だけを第1に考えて、他者に後れをとることの方が、よりリスクが大きいからです。
後れをとることのリスクは、ときとして致命的なものになることもあります。
例えば、市場を先に押さえられてしまった場合、それをあとから覆すのは至難の業だからです。
さて、そうはいっても、他者に先んじることで優位に立つためには、どういう手を打つべきなのか、という判断の確実な基準というのはなかなかわかるものではありません。どういうタイミングでどういう手を打てばより確実なのか、というのはかなり難しい課題です。
ただここで、「確実な基準」とは言えないまでも、とるべき道筋は2つあります。
その第1は、最新のビジネス情報は常に取り入れられる体制にしておいて、経営者が自らにそういった情報を取り込んでおく、ということです。
現代は「情報」というビジネスソースに関しては、都会も田舎も関係なくフラットに受け入れられる環境にあります。日本の場合、新聞や雑誌、テレビといった従来のメディアはもちろんのこと、インターネットについては全国ほぼ同レベルの受信環境が整っています。有益な「情報」を取りに行くか否かはこちら次第なのです。
第2の基準は、冒頭に書いた、のちの大きなビジネスモデルとなり得るような変革を直観的に捉えられるか、ということになります。
「我々凡人にとって、画期的な技術やモデルを直ちに取り入れ、仕事に自在に利用していくのはそう簡単にできることではありません。」と書きましたが、現実にはそうは言っていられません。そこを見抜く力が必要なのです。
例えば、コンピュータが普及し始めた当初は、その処理能力の高さに注目が集まりました。やがてそのコンピュータがインターネットにつながると、今度は「処理能力」プラス「情報収集力」が注目されたのです。
さらにコンピュータの持つそれまで我々が手にすることができなかった能力に「情報発信力」があります。
今ではここまでの機能をちゃんと捉えることで、初めてコンピュータの持つ様々な能力を理解しているといえるのです。
しかし、コンピュータの持つ能力を、「処理能力」「情報収集力」「情報発信力」の三位一体で把握している経営者は案外少ないのではないでしょうか。
こういった大きな技術革新の節目節目に、その技術革新の持つ本当のすごさとか、将来性とかを瞬時に見抜けるか否かは経営者の直観によるところが大きいといえましょう。
冒頭に書きましたように、ビジネスの世界では、時おりビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズのような革命的な天才が表れます。古くはエジソンもそうだったでしょうし、日本ではホンダの本田宗一郎やソニーの盛田昭夫などがそういった革命的ビジネスマンといえるのはないでしょうか。
そういった先駆者が示した技術やモデルのどれが我が社のビジネスに合致し、どれが大きな可能性を生むのかを見抜くのは、経営者のセンスと力量です。
そのセンスと力量を磨くには、前述した第1の基準である「自らを最新のビジネス情報を常に取り入れられる状況にしておく」ということに尽きます。様々な情報が取れるか否かという技術的条件は、全国ほぼフラットなわけですから、積極的に取るのか取らないのかはその経営者の姿勢にかかっているのです。普段から「情報収集(インプット)」に余念のない経営者は、自らの事業にとって有用な情報を掴むためのセンスや力量が、自然に磨かれていくのではないでしょうか。
さらに、こういったセンスと力量に磨きをかけるためのより効率的な方法があります。
それは、私が常々お勧めしている「情報発信(アウトプット)」ということです。しかしながら、それを聞いた皆さんからは「「情報収集(インプット)」が役に立つのはわかるが、何故「情報発信(アウトプット)」が有効なのかはわからない。」といわれそうです。
それに対する回答は、これも度々申し上げてきたことですが、「情報発信(アウトプット)」するためには「情報収集(インプット)」したものを、咀嚼し、深く理解し、整理しなければなりません。その過程で、その情報が有益なものなのかそれほどでもないのかの判断がつくのです。
「情報収集(インプット)」されたものの中で、何か感じるところがあり、それを「情報発信(アウトプット)」までしようと思うほど興味の湧いたものであれば、有益な情報である可能性が高いはずです。そういったリトマス試験紙として使うためにも「情報発信(アウトプット)」という手法は大いに利用価値があるのです。
いずれにして、事業における成功を手にするためには、他者に先んじて優れたビジネスモデルを、早く的確に掴むに越したことはありません。
こういったことに強いインパクトを感じているであろうアフターコロナは、大きなチャンスの時期なのです。
その早さと的確性があなたが手掛けるビジネスの優劣を決めるとすれば、「情報収集(インプット)」と「情報発信(アウトプット)」はペアで我が物にしておくべきでしょう。
大きく育つ可能性の高いビジネスチャンスを他者に先駆けて掴むためにも、この両者に磨きをかけていってください。
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