今から10年後の2030年、貴社はどんな事業をしていますか。
先日の日経新聞に「在宅勤務権」という言葉が登場していました。文字通り、在宅勤務をする権利です。欧米が先行し、日本も問題はあるものの追随する動きが出てくるのではと予想されています。
コロナ前には思ってもみなかった在宅勤務の常態化。オリンピック開催時の交通渋滞を避けるためといった1年前の思惑を遠く離れて、全く新しい展開が始まっています。
兼業・副業の波もオンライン化の波もいままで密かにその気配は見せていましたが、コロナ禍に襲われたこのタイミングで一気に表舞台に躍り出てきました。通信の世界では5Gという大容量のインフラが動き始め、SFの世界に出てきたテレポーテーションまがいのことが実用化の一歩手前まで来ているといいます。
どのタイミングで実現するかは神のみぞ知る世界ですが、逆に言えば、タイミング的に早いか遅いかというだけで、いずれ現実のものとなってきます。とすると、うちは中小企業だからとか、会社が地方にあるからとかいう言い訳がきかない時代が始まっているといえそうです。
少し前からAIの進歩でなくなる職業として、税理士、弁護士などの士業が挙げられていました。無人運転が進めば、トラックやバスの運転手の仕事もなくなりますし、キャッシュレス化とセキュリティ技術が確立されればコンビニの店員もいらなくなります。
AI活用に関しては「だからこそ人間には人間にしかできない創造的な仕事をするべき」という議論がよく出てきます。が、今までルーティンワークしかやってこなかった人がいきなり創造的になるかというと、それは無理でしょと考えるのが普通です。そこには創造的になろうとする意思が必要です。
既に飲食業が再開をはじめ、コロナの自粛前と同じ程度のにぎわいが街に戻りつつあります。一見、元に戻った感が広まると、切羽詰まったときの「変わらなきゃ」という意識も希薄になってくるのが、これもまた人の常です。
人は基本的に変わることは嫌いなので「状況が元に戻ったから変わるのを止めました」となりがちです。ただこの先10年の視野に入る大きな変化を見ると、変わらないことのリスクがいかに大きいかがわかります。
「そんなことはわかっている。どう変わったらいいかわからないから困っているのだ」という声が聞こえてきます。同感です。今とる手段が正しいかどうかは10年後かもっと先になってみないとわからないからです。
ただもうその先に向けて手を打ち始めている経営者がいるのも確かです。先日お会いした社長は「ピンチはチャンスと言うから、思い切って人材採用をすることにした」と言われていました。「コロナ前では考えられなかったほど、たくさんの人が応募してきた」とも。
まだこれからですという方は、自社の理念や強みを再度検討し、未来予測と照らし合わせて、何をすべきかを検討するのが良いでしょう。そのプロセスに社員を積極的にかかわらせることも大切です。
日本のホワイトカラーの生産性の低さは、何度も槍玉に挙げられてきました。生産性が低いと利益が上がらず、結果として待遇が改善されないという悪循環に陥ります。
新しい方向性に舵を切るのなら、生産性を上げることも同時に考えるべきでしょう。ある会社では、パートで働く女性従業員に対して、その日に完了すべき仕事が早く終わったら定時よりも早く退社して良いというルールをつくり、生産性を上げることに成功しました。どこをどうしたら生産性が上がるのか、当事者たる社員の方がよく知っていることもあり得ます。
人の感情に逆行するのではなく、背中を押す方向で会社の思惑と合致させるような知恵が奏功します。そして、新しい方向性を探るなら視点が多いほど振れ幅の大きなアイデアが出てきます。
会社の外にある第三者的な関与が助けになります。ぜひ一緒に考えましょう。
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