想像したほうが良い明日の姿
まだ子供の頃、未来のことを想像するのはワクワクする遊びで、「21世紀」というコトバには何だか夢のような響きが込められていたように思います。でも実際に21世紀になってみると、意外に変わっていない部分も多くあって、「あの21世紀はこんなもんだったの?」と思わなくもない、というのが正直なところです。
公共交通機関は、予期せぬトラブルがあるとやっぱり遅れるし、いくら会計がコンピュータ化されても、大病院では待たされるのが普通です。飛行機で旅行すると移動は一日がかりになるし、たいていの自動車は燃料を入れないと走りません(今のところ)。
も、確実に変わった部分や確実に変わって行く部分というものはあるので、そのあたりを踏まえて30年後の日本を想像してみたいと思います。
1)2050年、日本の人口は9515万人
総務省の推計によると、2050年の日本の人口は9515万人(但し海外からの移住者を除く)だそうです。今から3000万人以上少ない人数で、つまりそれは今と比べて(数の上だけですが)仙台や北九州くらいの町が30個ほどなくなってしまった状態だということになります。しかも人口の4割が65歳以上の高齢者だとか。15歳以下の若者は8.6%にすぎず、世帯数も1000万世帯くらい減るのだそうです。ご存知の方も多いと思いますが、人口動態は比較的よくあたる未来予測だということなので、まずこれを一番先に挙げておきます。北海道の東半分と、中四国地方に目立った人口減少が予想されているようです。
2)2050年、東京の真夏は40度超
昨年、生活総研が未来の年表を公開したというニュースがありました。
それによると、専門家の計算通りに温暖化対策が進んでも、平均気温は産業革命前に比べて1.5度~2度の上昇は避けられず、それによって多くの海でサンゴが死滅することは避けられないと予測されているようです。
これとはソースが異なる少し古い情報ですが、東京の真夏は40度を超える気温となり、紅葉はクリスマスの頃になるのではないかという予測も出ています。
3)この変化によって起きることは
高齢者が4割というのもすごい話ですが、子供が8.6%しかいないというのはもっと衝撃かもしれません。学校や学生は稀な存在になるわけです。温暖化によって、その学校では冷房が欠かせないインフラになるでしょうし、教室だけでなくどうかすると体育館にも冷房が入るようになるのではないでしょうか。
夏の屋外スポーツは警戒しながら実施されるようになり、北国でもスキーやスケートの授業がなくなるかもしれません。そうなると、種目にもよるでしょうが日本代表が活躍するスポーツ種目は減るのではないかという気がします。たとえばサッカーだと、まだ相対的に人口の多い南米やアフリカの国々が今より強くなり、日本はだいぶ厳しい立場に置かれる可能性が高いように思います(日本の後を追って人口が減る他のアジア諸国も相対的にスポーツが弱くなるのではないかと)。
だとすると、日本社会において子供は産んだもの勝ち、スポーツもやったもの勝ちになる可能性は低くないと見ます。失うわけには行かない伝統芸能や職人技、料理の味やビジネスの後継者、数少ない世界トップレベルの競技種目での選手育成など、今から先の日本で最もチャンスを手にする者は、子供そして若者なのだと思います。
「2050年の日本は、若者と子供の時代になる」一寸大胆すぎるかもしれませんが、もしも絶望を希望に変えるマジックがあるとするならば、それはこういうことなのではないかと思うのです。
折しも初等教育の中に取り入れられている「SDGs : 2030年のための持続可能な開発目標」については、小学生が真剣に未来を良くするための議論をしています。ホッキョクグマを絶滅させないために社会は何ができるのか?小学生のとき、そんな議論をした人間があと10年もすれば社会に出てくるのです。
その彼らが彼らの子供たちのために用意する未来が、日本再興のチャンスに溢れた時代となるよう、私たちもまた私たちの時代をなんとか明日につなぐ使命があるのだと、私はそんな風に思っているのですが。
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