自分自身でコントロールして終わらせるか。
続けられるところまで続けて終わるか。

いずれにしても、今の会社をそのまま引き継いでもらわない限り、会社に〝終わり〟は必ずやってきます。

M&Aで事業承継を考えているから大丈夫という会社もあるかも知れませんが、債務超過、借入過大企業のM&Aは、法的整理を伴います。

この法的整理とは、GOODとBAD、すなわち、得意先や機械設備、従業員などのプラスの資産とマイナスの借入を区別して、プラスの資産だけを事業承継(M&A)し、元の会社は、残った借入債務を抱えたまま法的整理(破産)するという方法か、民事再生を申し立てて、そのプロセスの中でM&Aする方法などのことです。

しかし、私が関与してきた事業承継(M&A)では、法的整理は行いません。

GOODとBADを分けて、事業承継(M&A)をすることは同じですが、元の会社は法的整理(破産)はしません。

が、これには、これができるだけの法律と財務の知識、実務経験、債権者との交渉ノウハウが必要です。

これらを持ったスペシャリストが関与しないと上手く進みません。

私は、「私的整理手続きを活用した事業承継(M&A)」と呼んでいます。

事業承継やM&Aをするにしても、会社の終わり方に関する知識を持っている経営者と持っていない経営者では、M&Aのやり方も事業承継のやり方も変わるということです。

売上アップや規模拡大への取り組みもとても大事です。

「何が何でも10億を超えるんだ」

「対前年120%を実現するんだ」

最近、ある経営者の方から、こういう話を聞きました。

 

「今まで売上や利益こそ第一だと考えてきたが、それが第一ではないと気づいた。

『売上を10億超えたい』
30億を目指せ』
『前期よりも利益を30%増やすぞ』

しかし、こういうことが大事なことではないことがわかった。
自分だけの、エゴに近い考えだったかも知れない。

このたびの新型コロナウイルスの感染拡大で気づいたことは、
売上や利益よりも、本当にもっと大事なものがあると言うことだ。

それは、〝存続する〟
ということと
〝終わる〟ということだった。

そして、これは全て従業員のためだということに気がついた。」

 

 

売上や利益をどれだけ多く出しても、どれだけ多くのキャッシュを貯めても、存続できる保証はありません。

4月と5月の勉強会の後半でお話をしたことです。

キャッシュを潤沢に持っている超優良企業や上場トップ企業でも、このたびのコロナウイルス感染拡大の影響によって、世の中の動きが変わっていくことで、3年後まで存続できる保証はないのです。

〝存続するために本当に重要なこと〟

このことについては、別の機会に、コンサルティング形式でお話したいと考えています。

今回の勉強会は、もう一つの〝終わる〟ということについて、法律、経営、労務、財務の観点からお話したいと考えています。

〝会社の終わりかた〟というものを知った上で、会社とあなたのこれからを考えていただければと思っています。

 

廃業...破産...倒産...破綻...会社整理...

〝会社の終わりかた〟にいろいろな言い方はありますが、要は会社や事業をやめるということです。

先日、今の会社を整理して新たにスタートし直そうとしている経営者の方との打ち合わせの時に、その方は、「会社を閉めるというのは、これだけ大変なのですね」と言われていました。

会社を作るのはとても簡単ですが、「会社を閉める」というのはとても難しく、大変です。

会社は事業を続けていく中で様々な会社や人と関係を作り深めていきます。

仕入先や外注先、得意先に従業員、リース会社、金融機関など。

「会社を閉める」時には、これらの利害関係者の方々に対し、いかに迷惑を掛けずに閉めることができるか、さらに、経営者自身の今後の生活や人生にマイナスにならないように閉めることができるか。このことがとても重要になります。

私は、事業再生や会社再建で3000社を超える企業と関わりを持ってきたことで、
私自身、自分の会社の終わり方ということを心得ています。

多くの人は、〝会社の終わり〟ということを、一度も経験したことがないと思います。

私は、事業再生の現場で、破産、倒産、清算、整理という企業をたくさん見てきました。

そのほとんどは、第二会社での再生に向けての、〝第一会社〟の廃業であったり、整理、破産です。

第二会社で再生していった会社の数と同じだけの終わっていった会社を知っています。

その数は400社を超えます。

「終わる方法」を知っていることが、今の経営や意思決定にプラスになることを実感しています。

そして、自分の会社の終わりかたを踏まえた上で、これからの会社の成長を考えています。

 

勉強会の内容

✔ 廃業、破産、倒産、整理の違い
✔ 計画倒産は犯罪か
✔ 詐害行為とは
✔ 代表者への貸付金はどうなるのか
✔ 債権者平等の原則と偏頗弁済
✔ 法的整理と私的整理
✔ 役員、株主の責任
✔ 物上保証人(担保提供者)と連帯保証人
✔ 差し押さえと仮差し
✔ 年金の差し押さえ
✔ 債権者のチカラ
✔ 財産の残し方
✔ GOODとBADを区別し、BADを引き継がない事業承継  

※上記内容を予定していますが、このたびの勉強会は予め参加者の方に質問などをお聞きし、勉強会で回答させていただく予定ですので、参加者の方々からのご質問内容によっては、内容を少し変更する場合があります。

 

「破産すれば全てを失う」といわれますが、決してそうではありません。

しかし、破産の真実を知らないと、おそらく全てをなくすことになります。

「弁護士の言うとおりにすれば間違いない」

これは間違いです。

法律的には間違いはありませんが、あなたが困らないようにしてくれる訳ではありません。

法律手続きとアドバイスを行うのが弁護士ですが、そのアドバイスが、あなたの困りごとを予測し、寄り添ってアドバイスをしてくれるかどうかです。

仕事柄、たくさんの弁護士と一緒に仕事をしてきましたが、心を持った弁護士、寄り添える弁護士は、数人しかいませんでした。

今からとても大事なことを言います。

「知識こそがあなたを助けてくれるのです」

「知識が経験を補ってくれるのです」

廃業や破産、整理というものがどういうものかを知らずに、専門家に任せきってしまい、お金だけではない多くのものをなくした社長。

第二会社での再生という選択肢を選ばず、今の会社にこだわったために、結局、破産せざるを得なくなってしまった会社。

会社が終わることなど考えずに、拡大方針で経営を続けた結果、売上は拡大し、会社も大きくなったが、借入も増え、結果、事業承継ができない会社を作ってしまった社長。

廃業...破産...倒産...破綻...会社整理...

経験をしたことがないからこそ、このような事態に直面したときに、どうすればいいかわからず、ネット情報に惑わされ、最善の方法を見つけることができなくなるかも知れません。

いつ必要になるかわからない知識ですが、必ず必要になる知識かも知れません。