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社長もう営業には出ないでください!そのかわりに、、

SPECIAL

組織の成長加速コンサルタント

株式会社グロースサポート

代表取締役 

組織の成長加速を促し、業績躍進を実現させる辣腕コンサルタント。これまで130社以上の企業において、経営者のコンサルティング、経営幹部、経営リーダーの育成に携わる。組織とリーダーの成長段階を知り尽くし、経営者と同じ目線で語ることのできる希有なコンサルタントとして活躍中。

その会社は、ご支援を始めた当初の売上40億円規模の会社でした。それが今は6 0億円に手が届くところにあります。関西地方の建設業のR社、T社長との2回目の面談の際、私が社長にお願いしたことがあります。

その時のT社長の顔の表情は、今でも私の脳裏に焼き付いています。T社長は、目を大きく見開き、口を尖らせて反論してきました。

「木村さん、うちの業界はね。そんなに簡単に、営業の窓口を交代できませんよ。以前も試したことあったんだけど、まったくダメダメだったし、結局ね。私に電話がかかってくるんですよ。担当代えても。だから、結局効率が悪くなるだけでした。それに、、、」

私はT社長の言葉を遮って言いました。

「社長、わかります。それは。私は全部理解しているとは申しません。でも、これは分かっています。御社が特にこの6、7年、これだけ伸びてきた理由は、たった一つです。社長の営業力です。それに尽きます。でも、これからは、そうじゃない。もう既に、社長がボトルネックになっていますから。」

これを聞いたT社長、一気に顔色が変わりました。T社長は気の短い方(ほとんどの社長そうですが)、一生懸命冷静を保とうとしていいますが、息をする度に肩が上がったり下がったりします。

私は続けて言いました。「社長、ちょっと怒ってらっしゃるようなので、続きはまたにしましょう。」と。すると、T社長は深く音を「ふーっ」と立てて息を吐きながら、ソファーに座り直します。そして、「いや、大丈夫です。続けてください。」と。こうなると話は早い。


凄腕の創業社長が率いる会社は、ほぼ100%の確率で創業社長自身が圧倒的な営業力を持っています。

すると、10億を超え、30名、40名と社員が増えても尚、社長がご自身で直接のお客様とのやり取りをされる会社というのは少なくありません。

社長が先頭にたつことで、起業当初から、圧倒的なスピードで売上げが上がり、だからこそ、圧倒的な質で他社を凌駕することができたのです。

ところが、組織が組織が大きくなると、社長がトップセールスマンとして、飛び回ることが必ずしも組織に良い影響ばかりではなくなります。寧ろ、ある時からそれはマイナス面のほうが大きくなります。

よく言われることですが、社長一人が全力で走っていて、ふと後ろを振り返ると、社員は誰もついてきてない。そんな状況。

残念ながら、そのマイナス面の増大が社長自身に起因すると察知して、問題が起こる前に切り替える創業社長は少ない。

その状態が、社員40名前後で続いていると、必ず成長にブレーキが働きます。社長が笛を吹いても吹いても、組織の動くスピードが速くなるどころか、笛の音への反応さえも、徐々に緩慢になっているように見える、、、そんな感覚を実際に体験された社長は少なくありません。

こうなったら、社長は自ら営業に走り回ることを早急に止めて、組織の力で成果を上げることに舵を切らなければなりません。

ところが、舵取りが遅れる社長がいます。営業が好きな社長の場合です。T社長も同じでした。公共事業の割合が8割の会社にあって、T社長がその人脈を駆使して、受注の大部分を支えていました。社長も自分こそが、この会社を支えている、そういつも思っていたのです。

そんな状態なのに、いきなり外からやってきて、「社長、もう営業にでるな!」などと言われたら、誰だって驚くはずですし、怒り出すことでしょう。でも、ある段階に達した企業の場合、このプロセスは避けては通れない。それも、あまり猶予がない。

特に、R社のように、社長が寝る時間を削って、連日接待をし、四六時中電話をしながら、受注活動に勤しむ。幹部社員は、社長に相談しようにも社長がいない。組織の生産性は極端に低くなる一方。

そんなことが数年続いていたら、速やかに、社長を営業の現場から引き離さないといけません。遅れると、ドンズマリになり、下手をすると、組織が大きなダメージを受けてしまいます。長い停滞期間を覚悟しなければならなくなる。

ただ、それは、その会社の勝手な都合で、ひしめく競合会社は、一社たりとも「じゃ、うちも少し成長を止めて待ってるよ」なんてことはありません。それまでの社長の必死の努力が結果が、競合会社に奪われていくのです。


3年半前に、その転換を実現したR社はどうなったかというと、もう別の会社です。T社長はもう、一切営業に関わっていません。でも、売上は一貫して過去最高を更新し続けています。

ところが、私が一言T社長に言ったことで、翌日から状況が一変したわけではありませんでした。T社長はその後も抵抗しつづけたのです。ただ、私が既に発生している組織へのマイナス面を指摘すると、5年かけて営業の第一線から退くという計画を作ってくれました。それでも、本気ではなかった。

実はこのパターンは何度も遭遇しています。なので、社長が営業から手を引かずにいてエラいことになった事例を同業他社の事例、他業種の事例で何度もお話をしました。それでも、覚悟までいたりませんでした。

そこで、ゴールから確認することにしました。すると、売上の中身は公共工事だけである必要はないことに気づいていただきました。そこからぐっと、社長が営業に使う時間を減らすプロジェクトは大きく進みました。

話を一部省略すると、最終的に、公共工事の割合を下げることに成功しました。そのかわりに、法人向け、民間向けの工事の割合を増やすことを実現したのです。

もちろん、法人向け、民間向けの事業は、当初から社長が営業に関わらないように設計しました。ただ、ビジネスモデル作りには、社長自身が深く関わりましたが、社長は一切自分が動かないように作ることを確認した上で、進めていただきました。

公共市場の将来性は、実は誰の目にも明かでした。とはいえ、社長自身、ずっとそこで勝負してきたのです。別の市場に向かうのは、暗闇に向かって進むようなもので、なかなか踏み出す機会が得られてませんでした。そこで、私が力尽くで背中を押したのです。


事業の創造は、言葉で言うほど簡単ではありません。既存のマーケットはもちろん競合が既に存在しています。如何に、営業コストを下げ、如何に既存の強みを横に展開するのか。

こんなの考えて一発で上手くいくほど簡単に見つかるなら、誰もが新規事業で大成功するわけですから。

またもう一つ重要なことがあります。社長がどんなに経験豊富であって、仮に優れた論理的な頭脳を持っていたところで、所詮社長一人だということです。

新規事業のための精鋭が複数人いれば、一気に進むわけですが、そんな精鋭チームが欲しくても、そんな人材が溢れている企業など存在しません。

そこで重要な要素になるのが、超特急人材育成法です。ただ、正直に言うと、それまで、事業を創るような人材を超特急で育成するなんてこと私もやったことなかった。

ところが、驚くほどうまくいきました。少し工夫は必要でしたが、超特急人材育成のカギはこれまでの幹部育成のやり方と共通功が多かったのです。

事業を創る人材と通常の幹部育成の違いは、結果的にはあまり大きな問題ではありませんでした。それは、最初の入り口の小さな違いだったのです。事業を創る人材を短期間で育成する上で、もっとも重要なことは、いつも通りの「言語化の部分」。

「え?言語化?何を?」という方もいらっしゃると思います。が、これをこの中でお伝えするにはあまりも説明に要する分量が多すぎます。どこかのタイミングで詳しくお伝えできたらと考えています。

(早く知りたいという方は、組織を代える言語化のエッセンスはセミナーでお伝えしておりますので、ご参加ください。)

先に進みます。


古い言葉に、「3人集まれば文殊の智慧」があります。私は、組織作りのお手伝いをしていて「この古い言葉は、真実だ」と知りました。実際、R社の事例でもそれは当てはまりました。 

新規事業のために、次々と社員を雇い入れたのですが、みんな別の業界の営業を多少かじったくらいで、素人でした。ところが、言語化の要領を掴むと、まさに「文殊効果」が生まれたのです。

次々に、アイディアが溢れ出るようになっていきました。本来、これはどんな組織でも起こりえることなはずですが、ほとんどの会社はアイディアが出なくて困っています。

というか、私には、アイディアがでない組織を一生懸命作っているようにさえ見えます。ところが、ある仕掛けを使うことでこれは簡単に直すことができます。20名くらいのチームなら、数ヶ月でアイディアが飛び交う組織に変わっていきます。

そして、その結果、急速な組織学習が進みます。新規事業は、上場企業も含めて9割以上失敗すると言われています。新規事業が成功するのには、組織学習の緻密な設計なしには起こりえません。

R社の場合は、新規事業が成功する確率は通常よりも更に低かったはずです。業界の素人集団が、新規事業に取り組むというのですから、一言でいえば、狂った試み。

しかし、文字通り「3人の集まれば文殊の智慧」が実現できたから大成功したのです。新しい法人向け、民間向けの事業は1年目から黒字化、そして今、全体の4割を支えるまでになっています。

そして、驚くべきことに、公共事業も、社長が抜けた今でも増えるというまさに魔法のようなことが起こったのです。(実際に後日、T社長が当時を振り返り、「魔法のよう」と評されました)

組織の対応スピード落ちてきたら、社長は組織のスピードを上げることに専念しなければ、取り返しがつかないことになります。が、社長がその変革を実行することを決めれば、後は、決まった手法で実現するだけです。


さて、あなたの会社の場合は如何でしょうか?

社長依存、専務依存、常務依存、数人のトップセールスマン依存という体制から脱却できていますか?

それとも、それを脱却する方法はもう確立しているのに、それに目を背けて、恐れを抱きながら、まだしばらくそのままやっていきますか?

今は政治も経済も大転換の時、うかうかしてられません。変化に最速に対応できる組織へ少なくとも、アイディアが飛び交う組織、組織学習が進む状態を一刻も早く創ってください。

 

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