現場イコール工場ではない、開発者に意識させる現場を変えるだけで開発のレベルはガラリと変わる
「現場をきちんと見ていますか?」
目下、何を開発するか、企画に奮闘中のある製造業経営者へのご質問です。
「もちろんです。当社は現場第一主義をかかげており、自分も見ていますし、社員にも常に見るように指示しています。今も、製造現場のことを意識しています。製造しやすいようにきちんと意識しながら何を開発するか考えています。」
「残念ですが、それは、意識するべき現場を間違っていますよ。今、最も意識するべき現場は、工場の現場ではありません。」
「え?・・・」
何を言われているのか、かいもく見当がつかない様子です。
これは、この企業に限ったことではなく、製造企業ではよくあることです。良い意味で、製造企業では、工場の現場を第一に考える現場第一主義が根付いており、製造、生産を考えたものづくりが高いレベルで実践できています。そして、それが日本の製造業の強さになっています。この製造現場主義の意識は極めて高く、何事においても、無意識になかば条件反射的に、製造現場を意識するほどです。
ところが、これが思わぬ副作用を生んでいます。
それは、何事においても、「現場=製造現場」となってしまっていることです。
確かに、開発するものが決まった後は、それをどう製造するのかをよく製造現場を意識して作りこんでいくことが重要です。しかし、何を開発するか考える段階では、意識するべき現場=製造現場ではありません。
ここで、現場として、製造現場を第一に意識してしまうと、どうなってしまうでしょうか?
お分かりのように、そこから出てくるのは、もっと製造しやすいようにする、効率を上げコストを削減できるといった、製造の改良テーマに限定されてしまいます。実際に、多くの製造企業がこの状態に陥り、行き詰っています。
誤解しないで欲しいのですが、製造の改良テーマがいけないと言いたいのではありません。これはこれで必要なことです。しかし、大事な点は、何を開発するか考える段階で、製造現場を第一に意識してしまうと、製造の改良レベル以上の開発テーマは出てこなくなるということです。
今、ほとんどの製造企業が直面していることは、製造の改良だけでは、利益が下がる一方でどうにもならない、という厳しい現実です。そして、多くの製造企業がこの厳しい現実に直面しながらもそこから抜け出せない要因の一つは、これから何を製造するか考えるすべを持たないことです。
ただ、ここから抜け出すことは、可能です。実際に、冒頭の企業はその後、抜け出しています。
どうやって抜け出したのか?
抜け出せたきっかけは、意識する現場を変えたことです。冒頭の企業が意識するのを変えた現場とは、どこか?
それは、製造ではなく製品を使うお客様の所です。
お客様が製品を使う所を現場ととらえ、何を開発するか考えるようにしたのです。当たり前のことのようですが、多くの製造企業ができていない、とても大切なことなのです。
お客様を知らずして、お客様の使用実態を知らずして、何を開発するかを自分たちの製造現場だけを見て考えていては、お客様から高いお金をいただける製品はできません。
この極めてシンプルな事実をまず受け入れ、お客様を意識し、お客様の現場を見ること、ここから始めなければならないのです。
御社は、開発するとき、きちんと現場を見ていますか?
見るべき現場を間違ってはいませんか?
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