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セオリー通りの見せ方で商品の魅力は見込み客に伝わるのか?

SPECIAL

成長支援部づくりコンサルタント

ヒーズ株式会社

代表取締役 

会社の大元となる「総務」を革新すれば、すべての事業部に影響を与え、顧客志向になり、驚くほど業績が伸びる。経営者が着手すべき、「成長支援部づくり」を指導。

セオリー通りの見せ方で商品の魅力は見込み客に伝わるのか?

商品の見せ方にはある程度決まったパターンがあります。

典型的なのは、「見込み客の現在のニーズ(お悩み)を明らかにする→見込み客の理想の姿を示す→現在から理想の状況に至るまでのプロセスを説明する→そのプロセスを実現できるのがこの商品であると説明する」という感じです。

きちんとニーズを探り当て、理想の姿をイメージしてもらい、商品で問題解決できることを理解してもらえれば、「その商品を買いたいのですが」となります。

一方、テレビも視聴率を上げるためによく使われるパターンがあります。その一つが「できるだけひっぱる」です。先日もあるテレビ番組で、このパターンが使われていました。

元プロ野球選手が打席に立って芸能人バッテリーと対決するという企画。元プロ野球選手はマスクをかぶっており、その正体は分かりません。ヒントは過去2回首位打者にも輝いたレジェンド。日本シリーズにも出場してMVPを獲得したことのある大物打者です。

そして、その選手。実は過去にも同じ番組に出場したことがあるらしく、2打席連続でホームランを打ったという触れ込みでした。この時点でかなりハードルが上がっていることが分かります。

企画のルールとして「元プロ野球選手がアウトになればマスクを取って正体を明かす」となっており、その選手は2回ともホームランなので正体は謎のままです。

そして、今回の対決、結果的にはあわや3打席連続ホームランかというような当たりで、元プロ野球選手の勝ち!ルールに従えば、その選手はマスクを外す必要はなかったのですが、番組の10周年記念ということで、お願いして正体を明かしてもらうことに・・・。

まさに、セオリー通りに番組を盛り上げる内容になっていました。

問題はその後。

実はマスクを外した本人は元横浜ベイスターズの鈴木尚典さんだったのですが、その顔が画面にクローズアップされた時、「あれっ、この人誰だっけ?」という微妙な間がほんの一瞬ありました。

見ていた私もすぐに誰だったか分からなかったのですが、理由はいくつかあります。

野球選手は普段は野球帽をかぶっているので、野球帽を脱ぐと、顔が分からなかったりすること。

鈴木選手はいわゆるいぶし銀的な選手で、その活躍を知っている人はいても、その顔を見て、野球を知らない人でも誰もが「あっ、あの鈴木選手だ」と分かる訳ではないこと。

現役を引退されてから10年以上経っているので、現役時代とは顔つきが多少変わっていること。etc.

もちろん今回は別に鈴木選手を売り出すための企画ではありません。また、セオリー通りできるだけ引っ張ったことで番組の視聴率が上がったかもしれません。

しかしながら、鈴木選手を一つの商品として捉え、「商品の価値が見ている人にしっかり伝わったか」という観点から考えてみると、ハードルを上げて盛り上げるだけ盛り上げておいて、「あれっ?」と一瞬でも思われたことは必ずしもプラスになっていないと感じました。

セオリーに沿ってやることで、成功確率は上がります。一方、セオリー通りやっても、その商品の価値や魅力が必ずしも上手く伝わらないことがあります。

それを避けるには、

  • 商品の特徴をしっかりと把握すること
  • 見る人や伝える相手の立場に立って全体を構成すること

が鍵になります。テンプレート通りの浅い情報発信では伝わらないものがあります。

実は先の番組、最近では珍しい生放送。もしかすると、生放送でなければ後で編集が可能なので、鈴木選手の魅力ももっと上手に伝わったのかもしれません。

 

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