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テレワーク社員の期待成果の見つけ方とは

SPECIAL

人事制度コンサルタント

株式会社ENTOENTO

代表取締役 

会社を成長させる人事制度づくりで、700社以上の指導実績を誇る日本屈指のコンサルタント。日本の過去50年間の人事制度のつくり方とは異なり、経営者の評価と賃金の決め方を可視化してつくる画期的な人事制度は経営者から大きな支持を得ている。

「テレワーク社員用のいい評価シート事例はないでしょうか……実は今、社員たちから不満が噴出してしまっていて……早急にどうにかしたいんです」

先日ある経営者から頂いたご相談です。よくよくお話しを伺うと、その方はコロナ禍の中で昇給の時期を迎え、とりあえず評価しなくてはと、どこかで手に入れた評価シートをテレワーク社員に配布してしまったそうです。

そうして問題となり、相談に来られました。

今回の問題は、テレワークだから起きたわけではありません。今までの人事制度の問題と全く同じ。どこかから評価シートをもってきて、社員に当てはめようとしたことに問題が起きた原因があります。

テレワークでなかったとしても、どこかからもってきた評価シートを活用しようとすれば社員から不平・不満が出ます。不平・不満が出るだけではありません。最悪、優秀な社員から辞めていきます。

それは、これまで経営者が行ってきた評価(褒めること叱ること)から、がらりと評価内容が変わってしまうからです。これまで優秀だと言われてきたのに、突然配られた評価シートでは高い点数になることができないとしたら……優秀な社員は社長に裏切られたような気持ちになり、落胆するしかありません。

ましてや、テレワークでは、社員が働いている様子を見ることができません。ただでさえ自分の働きぶりを認めてもらいづらいのに、これまでと評価が激変するような評価シートを渡されたとしたら……社員の気持ちは推して知るべしでしょう。

ですから、評価シートはどこかからもらってくることはできません。その一方で、成長シートは通常であれば、今いる優秀な社員の上げている成果、やっている業務、身につけている知識・技術などを可視化してつくらなければなりません。

ではそれらがまだわからないテレワークであればどうすればいいのか。「仮説」で成長シートをつくります。

「そんなつくり方で社員は納得するのですか?」

よくご質問を頂きます。

納得してもらうためのポイントは2つです。

1つはこれまでも説明してきましたが、「この成長シートの成長点数はただちに昇給・賞与には結び付けない」と約束すること。

そしてもう1つが、成長シートの期待成果に必ず数字で判断できる成長要素を入れることです。

もともと、成長シートをつくるときには期待成果という、数字で評価をする成長要素を入れます。これがなければ、社員は自分のやっていることが上手くいっているのかどうかを本人も上司も判断することができません。

ただし、「期待成果を何にすればいいのか」は、成長シートづくりに取り組んだことのある方であれば、そうやすやすと見つけられないことはおわかりでしょう。

実はこれがマネジメントを行っている人たちの最大の課題と言えます。考え続けなければ、見つかることはありません。

例えば、ある設計をしている社員の評価に悩んでいる会社での話です。

設計職は、設計した図面の件数によって評価をしていました。しかし、社員からは長らく不満が出ていて、上司も経営者も実は社員の成長を上手く表現できていないと長年悩んでいました。なぜなら、難しい図面もあれば、ボリュームの多い少ないもあり、単純に件数では測れないと考えていたからです。

お話を伺って、私はあるアドバイスをしました。

「その難易度やボリュームを考えて、ポイント化できませんか?」

つまり、1件でも単なる1件ではなく、難易度やボリュームの違いによって係数を掛け、場合によっては1件ごとにポイントが出るようにすることです。

これは全くの仮説でした。やはり社員の中には「ポイント化なんて面倒だ」等、反発する社員もいたそうです。ただし、これによって設計職の社員の仕事の仕方はがらりと変わりました。

ベテランの社員ほど難易度の高い、ボリュームの多い仕事に取り組むようになったのです。

この変化を一番驚いたのは社長でした。

「件数では評価できない」と諦めてしまえばそこで終わりだったでしょう。でも諦めずに「ポイント化」という仮説に取り組んだことで、この会社はがらりと変わったのです。

そしてもちろん、仮説で取り組んでいるときには評価を昇給・賞与に紐づけていません。だからこそ社員は安心して、会社の仮説を受け入れることができたのです。

この成長シートの期待成果、テレワークの社員の期待成果を考えることは、成長シートづくりの中でももっとも難しいことの1つでしょう。しかし、ここを数値で表現することに挑戦しない限り、何もわからないままです。

どのような期待成果が適しているのか。数字で表す方法を考えてください。それさえ考えれば、社員がどれほどまでに毎日の仕事がストレスなく楽しめて、そしてその情報を社員間で共有化できるようになるでしょうか。

濃い霧の中を歩くような作業でしょう。しかし、歩き続ければ必ずどこかにたどり着きます。大変だと諦めずに、挑戦をしてください。

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