数字を読む ― 4,182億円 ―
この数字は、2019 年度の国内のフードデリバリー市場規模である(NPD Japan 調査)。市場は年々拡大しており、2015 年の3,564 億円から4 年間で17.3%成長している。
ただ、日本の外食産業におけるデリバリーの比率は3%程度。韓国(10%)や中国8%)、イギリス(8%)などと比べるとまだまだ低く、今回の新型コロナウイルスに伴う外出制限を契機に、今後、市場は急拡大すると見られている。
日本最大級のデリバリーサービスを展開する「出前館」は、加盟店舗数2 万1,450 店舗、年間オーダー数3,000 万件以上と事業そのものは伸びているが、積極的な投資がたたり、2020 年2 月期の連結決算は、最終損益が9 億400 万円の赤字となった。この「出前館」にLINE は、今年3 月27 日、資本業務提携契約を
締結して300 億円を出資すると発表した。
かねてからLINEと出前館は、業務提携を結んでおり、「出前館」の運営ノウハウと加盟店基盤、コミュニケーションプラットフォームとしての「LINE」のアクティブ率の高さを活かしたデリバリーサービス「LINE デリマ」を2017 年7 月より運営。LINE 公式アカウントの友だち数も2700 万人を超えるなど、ユーザーと店舗との新たな出会いを創出していた。
今回の資本出資を機に、LINE 執行役員の藤井英雄氏を送り込み、LINE からエンジニアを派遣して「出前館」のシステム強化を図るなど、組織力と競争力を高めて、成長スピードを加速させていく構えだ。
その出前館の強力なライバルとなるのが、2016 年に日本に上陸した「Uber Eats」だ。
Uber Eats は、評価制度をはじめとした配車サービスUberのノウハウを活用し、ユーザー・飲食店・配達員をリアルタイムでマッチングするシェアリングエコノミーのサービスにより台頭し、現在、登録店舗数は1 万4000 店以上となっている。
このほか、中国の配車サービス大手「DiDi」も、今夏から大阪でフードデリバリーサービス「DiDi Food」をスタートさせる予定である。
実は、この「出前館」「Uber Eats」「DiDi」の3 社は、いずれもソフトバンク系ということになりそうだ。
LINE はヤフーを傘下に持つZホールディングス(ZHD)と今秋をメドに経営統合を目指している。
そしてソフトバンクグループは、「Uber Eats」「DiDi」それぞれの筆頭株主となっているからだ。将来的には、出前館とUber Eats の協業・統合もささやかれているが、飲食業界をとりまく環境は、日々大きく変化している。
今後、この勢力図や提携関係は変質していくかもしれない。
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