損をしたくない、たった一つのお金のルール
Fromノグチ
東京に休業要請がでた日のことです。ある社長さんから売上は上げたいが、単価の低い仕事はしたくないと話が出ました。
「採算合わないじゃないですか、同じだけ時間をかけても相手が小さいと、払ってもらえない。」
(御社のノウハウは中小零細ですごく活用できるでしょ。だから、数で行けそうだし、そこから中長期の売上だって出てこない?)
「だから、採算合わないですよ。金額小さくて、することおんなじで、手間たくさんみたいな。」
(社長の時給は高くしなきゃいけない、って決めているから?)
「だってそうでしょう。そうじゃなきゃ、売上上がんないですよ」
(ウーン、私の子供の時の話なんだけどね。聞いてもらえる?)
損をしない注ぎ方
5.6歳のころ、実家は、小さな酒の小売店のわきには“モッキリ”と呼ばれるグラス売りの酒飲みコーナーがありました。コーナーといっても、買い物客から見えない通路わきに木の台を置いただけ。その上に焼酎の茶色い甕があるだけです。
焼酎の甕にはチューブが入れてあります。皿を下にしいてグラスをのせ、チューブをグラスの上にして、ピンチを外すと、ツーッと焼酎がグラスに注がれます。
一瞬チューブを甕より高く上げれば、流れを止められます。小さい子供の私にはそれができません。ピンチでチューブをサッと挟む早業も、これまたできません。
結果として私が注ぐと、グラスの淵から焼酎はこぼれ、皿になみなみと焼酎が波打っています。
あ~また、失敗だ~。
計算高い私は、グラス売りにグラスの分量以上のお酒を入れたら損だと信じていました。
ウチがもっと儲かっていれば、こんな仕事しなくてもよくなるのにと思っていました。
魅了される注ぎ方
ある時、めったに来ない日本酒の“モッキリ”を注文するお客が来ました。
焼酎より数倍高い日本酒。これこそグラスの上限ぎりぎりにしっかりと注がなきゃ。
真剣に注ぎましたが、やはり少し皿にこぼれました。
お客さんが、口をつけて一口飲んだ次の瞬間、
「わるいね、孫は酒の注ぎ方を知らないんで」と祖母は私から一升瓶を取り上げると、お客さんにグラスを皿の上にのせさせ、グラスから酒があふれ皿にも酒が満タンになるほど注ぎました。
満面の笑みを浮かべて、お客さんは、まずお金を支払いました。
一杯分のお金です。
えーっ、ウチ損しちゃう!と、見上げると、祖母は涼しい顔。
さて、このお客さん、翌週の月曜日から毎日やってきました。
同じように お酒の“モッキリ”を頼み満面の笑顔です。
違うのは、一杯分以上のお札を出して、「つりはいらない。」という事。
顧客の満足とLTVの深い関係
「まず、満足してもらう、そっちが先だよ。」
満足すれば、お客さんはお金と一緒に戻ってくる。一週間たっても、一か月たっても戻ってくる。
これが、祖母から教わった損をしたくない人のお金のルール。
LTV(生涯顧客価値)の計算がわかるようになって、やっと、損しない仕組みだと納得しました。
―ノグチ
P.S.
ロングタイムで考える成長戦略があります。まずは他人を助ける。他人を助けると、自分の成功が見えてくる成長戦略です。経済が停滞しているけれど、動き出した事業が見えてきました。
台湾のコロナ感染防止アプリ、医療従事者への飲食提供事業、などなど、まず助けることから始めた事業が始まっています。他人を助けると、自分の事業も動き出す、成功の法則。
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