感染予防のために、できること、できる発信とは?
■非常時にこそ、今一度、心しておきたいこと
東京も緊急事態宣言の発令が決まりました(2020年4月6日現在)。他国のロックダウンとは違い、何がどう変わるかは多く報道されています。慌てず、騒がず、より落ち着いた行動を、私たち一人ひとりがしていかないといけませんね。
みんながみんな、未経験の先の見えない状況にいます。そして、今回の新型コロナ問題について、人それぞれが、さまざまな反応を示し、多くの発信をしています。
「フェイクニュース」という言葉が生まれ、情報の嵐のなかでデマが何かを見極めないといけないということもトイレットペーパー体験で学びました。
一方で、まずは実名で発信することが第一条件ですが、説得力のあり、信頼性の高いと感じる発信への「共感」「支持」は平常時以上に大きいとも感じます。
その代表例が、京都大学・山中伸弥教授のサイト「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」。
医師という同じ立場でありながら、TV出演時には、自分は臨床医でなく研究者であること、専門家でないことを最初にことわる。そして、医療現場に携わる方々への労いの言葉をまず最初に、誠心誠意込めた自分の言葉で伝える。そして、批判を覚悟で個人的な意見として、「知ってほしい」という強い思いで発信する。その真摯な姿勢を見て、さらに山中教授への信頼が高まったのは私だけではないはずです。
どんなときでも、どんな立場でも、どんな相手にも、言葉で感謝の気持ちを表すこと。これは何よりも大事であることを、この非常時に今一度、心しておきたいことです。
■言い方次第で行動が変わる、流れが変わることを実証
今の時期、多くの方々が、自分ができることをやろうという気持ちでいます。新型コロナの感染者を減らすためには、不要不急の外出と人との接触を控えることが大事だと、連日、報道されています。
それを守らない人へ対しての発信もさまざまです。危機意識のない人たちに対して、強く批判する厳しい言葉や「言ってもどうしょうもない」といったコメントも多くあります。
(私自身もこの時期に、観光地で人力車に乗っている人の姿を見て、思わず怒りを感じてしまったのが、正直なところですが……)
童話『北風と太陽』ではありませんが、やはり、言い方次第で大きく流れが変わる、ということが、実際に行動経済学では実証されているという興味深い記事がありました。
日経新聞(2020年4月6日朝刊『社会の免疫力 高めよう』)に、「自分だけでなく他人のためにもなるという『利他性』を軸にしたメッセージのほうがはるかに効き目があった」という記事がありました。
これは、2014年と2018年に広島県で起きた豪雨による土砂災害の避難勧告で実証(大阪大学・大竹文雄教授と広島県の共同調査より)されたことですが、使う言葉と言い方次第で行動変容を促すことができるとしています。
そう考えるとーーー「人込みに行く人は常識がない!」「家にいないからコロナになる!」と、強く批判することは、決して相手に届く言い方ではないようです。
緊急事態宣言が発令された今、発信していかなければいけないのは、「ちょっとした気づきを与えて人の行動を変える、行動経済学でいう「ナッジ(肘で軽くつっつくこと)」の手法がウイルスの感染防止にも有効だといいます。
今、発信すべきは、批判でも強い言葉でもなく、このメッセージ。
「あなたが『3密』状態を避けることが、周囲の人の命を助けます」。
これを言うこと、発信することが感染予防につながるのであれば、私たちの誰もができることではないでしょうか。誰もが他人事ではなく、新型コロナの感染が自分ごととなってしまった今、オリンピックではありませんが、すべてが「オールジャパン!」の発想でいくときですね。
明けない夜はありません!一日も早い終息の夜明けを見ましょう。
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