当事者意識を育成するには。
新型コロナウィルスの感染を防ぐ最良の方法は、他人と接触しないこと。もし自分が感染していれば他人にうつすリスクを避けられるし、誰か別の人が感染しているのなら自分がうつされるリスクをぐっと下げられる……。
と、さんざんメディアが言っているにも関わらず、自分は関係ないと決めこんで、それでも一応マスクはして人混みに出かけていく人たちがいます。感染のリスクが頭によぎるものの取り越し苦労に終わるケースも多く、それでも万に一つのリスクもないとは言えません。自分が発症しなくても、家族や知人にうつす可能性があるわけで、そういった想像力が働いていないようです。
この当事者意識のなさ、というのは、会社のなかでもよく問題になります。会社を構成する一メンバーでありながら、会社で起こることやその目的に対して距離を置き、自分流の理屈にだけ従って動いている社員。経営者にとっては頭の痛い問題の一つです。
なぜこれが起こるのでしょうか。
理由はいくつかありますが、最も大きいものは「それが大切だということが共有されていない」ということです。そして、その背景にはそれなりの原因があるということを踏まえておきたいのです。
社員の側には社員の側の正論があります。「上から指示されたことをやっていればいいのでしょ?」と。「それすらやってないじゃないか」という社長や上司の怒りも聞こえてきますが、とりあえず社員の側の正論は、「自分の期待役割を自分は果たしているつもりだ。文句があるのか?」といった具合です。
対して、経営者や上司の側の正論は「会社の利益や目的に貢献するのは社員として当然の行為。言わなくてもやって当然」です。
そして、ここにギャップが生まれています。
多くの場合、この認識のギャップを放置したまま、双方が互いに対する期待値のずれに対して怒りを感じつつ、どうしていいかわからないまま何年も過ごしているということになっているわけです。
ギャップが問題であれば、すり合わせを行えばよいということになるわけですが、これが一筋縄ではいきません。なぜなら、双方が良いと思ってきた今までのやり方をいったん保留する必要があるからです。そして、今までのやり方が、社員や経営者にとって、自分の信念と密接に結びついていたりすると、「保留」して新しい方角から見なおすことは、できればやりたくない作業となります。
第三者が客観的な視点で、この場に立ち会うことで、面倒なすり合わせの作業を、理性的にこなすことが可能となります。
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